国際機関を牛耳る中国 WHOは今後どうなる?
バイデン氏の言うグローバリズムの本当の意味は?
WHO(世界保健機関)で、緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は11月27日の記者会見で、新型コロナウイルスが、中国以外で発生したとの考えに否定的見解を示した。中国の記者が、流行が中国外で始まった可能性について質問したことを受けた発言のようだ。
昨年12月には、中国の地元紙などがウイルスの存在を報じており、「何を今さら」という感想だ。WHOは先遣隊を中国に派遣するなどしているが、各国専門家による大規模な現地調査は実現していない。中国はウイルスの発生をごまかすのではなく、現地調査に協力すべきだ。
WHOが「新型コロナの発生源は中国」との見解を改めて示したのは、米大統領選で、民主党のジョー・バイデン前副大統領が当選を確実にしたということに理由があると推察している。
バイデン氏は選挙中から、米国のWHO復帰を明言していた。これは、「米国が国際公衆衛生の強化に関与する」という理由だけでなく、バイデン氏が「グローバリズム」を主張していることも大きいと思う。
勘違いしている人も多いが、グローバリズムとは、世界中の皆で助け合おうというイデオロギーでは決してない。多国籍企業が国境を越えて経済活動を展開したり、自由貿易と市場主義経済を世界中に拡大させることだ。中国は、グローバリズムの恩恵で急速な経済成長を実現した。
ドナルド・トランプ大統領は7月、「中国ベッタリ」と揶揄(やゆ)されるWHOからの離脱を正式表明したが、バイデン政権になれば、WHOに復帰して関係を再構築することになる。さらに、温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」や、イランとの核合意にも復帰する方針という。ただ、米国が主導権を握るのは非常に難しいだろう。
バイデン氏は、政権移行チームのホームページで閣僚人事を次々と発表している。注意・警戒したいのは、オバマ前政権の閣僚の部下だった人物が多いことだ。
オバマ政権といえば、「もはや、米国は世界の警察ではない」と発言して超大国の責任を放棄し、北朝鮮政策では「戦略的忍耐」を持ち出して、世界の平和と安全を守る役割を放棄した。現在発表されている面々が、今後の4年間を担うということには、大きな不安が残る。
さらに、WHOをはじめ、現在多くの国際機関を牛耳っているのは、紛れもなく中国だ。中国の暴走を止められるのは米国だけだが、オバマ政権が見せたスキに付け込んで世界の先頭に立とうともくろみ、今も暴走し続けているのも、中国だ。
WHOのテドロス・アダノム事務局長が、バイデン氏の当選をツイッターで歓迎していたが、米国の復帰が資金確保につながり、「WHO=中国支配」というイメージを払拭できると考えているのではないか。
新政権は、単に国際機関に復帰するのではなく、中国傾斜の激しい組織の構造を抜本的に改革しなければ、中国による暴走は続くだろう。
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