肉じゃがが好きだ。
健康度外視の甘辛い肉じゃが。それを米の上に乗せて頬張り、ビールで一杯やるのが好きだ。休日に父が作るインスタントラーメンのような、罪深い味がする。コンビニの肉じゃがでも、スーパーの肉じゃがでも、親や恋人が作る肉じゃがでもない、自分のための肉じゃがが好きだ。
でも正直言って、肉じゃがを作る頻度は非常に低い。
結構手間がかかるし、食材の値段だって馬鹿にならない。どうせ作るならカレーやハヤシライスを作りたいという欲求に大抵負けてしまう。
それでも、半ば衝動的に甘辛い肉じゃがを作ってしまう時がある。それは美しい夕陽を目にした時だ。
地下鉄の階段を上がり、地上へ出ると、深い橙色に染まった空が見られる時がたまにある。すると私の頭は肉じゃがで一杯になってしまうのだ。もしかすると、かつて私が幼き乳飲み子であった頃、眼前に広がる夕陽に心を焼かれる中、どこからともなく漂ってきた煮物の香りに鼻腔をくすぐられたのかもしれない。それくらい凄まじい条件反射だ。
次はいつ見られるだろうか。できればあさって以降であることを願う。
にくじゃが(Japanese beef and potato stew)
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