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00:00 OP
03:14 ポランニーのパラドックス
05:16 できるようになると説明できない
09:53 本日の宿題
本日は「なぜ我々は当たり前を説明できないのか」というテーマでお話ししようと思います。
ちょっとした小ネタですね。小ネタを話そうと思います。
臨床をやってると「ちゃんと説明してください」とか、「なんで説明してくれないの?」とよく聞かれますね。
特に発達障害がある人からの言葉は多いし、あと若い人は結構多いですね。
なんで上司が説明してくれない?
なんで親は説明してくれないの?
そういうものだってちゃんと説明してくれたらいいじゃん。
でもね、僕がよく言うのは、いや、できないんだよと。
人は説明することができないよとよく言います。
結論から先に言うことが多いんですけど。診察の流れがあるからね。
でもまあ、本当はこういう脳科学の話からしていくと、納得しやすいのかなとは思いつつ、なかなかそっちの方まで話が展開しないわけですよ。
なんで説明できないんですかとか、どういうことですかと言ったとき、言えるんだけど、言わないときに脳科学的にこうで、認知段階があってとか言ったりすると、みんなうんざりすると思うので話はしないんですけど、もし余裕があったらこういう形、小ネタを覚えてもらうと納得しやすいのかなと思ったので、今回動画にしたということです。
本当はこういうことまで説明してあげたいんだけど、なかなか診察時間とかね、話の流れの展開上できないと。なので今回、余裕があると思うので、こういう時だと余裕があると思うので。ちょっと小ネタを入れてもらったらと思います。
よく僕は治療のゴールは仕方がないってことなんだ。
仕方がないと割り切ることなんだ。感情に支配されず、合理的な行動をとる。仕方ないよね。人間ってそうだよね、社会ってこうだよねって思うことなんだとよく言いますよね。
仕方がないことが多いんですよね。
だんだんいろんなことがわかってくる。
ああ、これ仕方ないんだなとか。なるべくしてこうなってるんだな社会はということがわかるんですよね。
なるべくしてなってることが多いんですよね。
だからそれは脳科学の世界とか生物学の世界もその通りで、なるべくしてなってるんですよ。
神様はやはり優秀というか、良くできているというか、よくやったというか、人間のなんというかね、無駄がないんですよね、生物って。
無駄がない中でも、失敗や愚かさがあるのはなんでかというと、それなりの理由がちゃんと用意されているということですね。
とにかく説明できないんですねという話ですけど、そういうことがわかっていれば納得がしやすいんですね。
仕方ないなと思いやすいので、色々な小ネタは覚えてください。
■ポランニーのパラドックス
今回はポランニーのパラドックスを知ってもらうといいのかなと思います。
ポランニーは科学者であり哲学者でもある人で、1966年に『暗黙知の次元』という本を書いたということになります。
ポランニーさんがこの本の中で、人間は語れること以上のことを知ってるんだよと言いました。
自転車はどう乗るの?とかは言語化しにくいんですよ。
でも知ってる、できる。
僕らは達人の技とかいろんなものは言葉にできないんですけど、なんとなく体で覚えていたりとか、なんとなく知ってるんですよね。
質問されたときに初めて説明できるものもあるし、質問されてもうまく答えられない。
こうだからこうなんだよとしか言えないことはたくさんあるんですよね。
そういうことを科学者でもあり哲学者でもあるポランニーさんが言ったということです。
こういうのをポランニーのパラドックスと言います。
知っていれば答えられそうなのに答えられないという逆説ということですね。
この話はAIの話をするときによく引き合いに出されています。
人間とAIの違いというのは、AIは命令しないとできないけど、人間は説明できないこともできるので、人間の方がAIより優れたところもあるとかね。
AIに仕事を取られないだろうみたいな言い方をすることがあるんですよ。
その時にこのポランニーのパラドクスを引き合いに出されますね。
ただこれも部分的には否定されていて、説明がつかないこともAIは勝手にできてるようだと。
よくわからないけど、大量データで学んでいると、AIも自分で説明できないけど、何かできること多いらしいよみたいなことがわかってきているので、ハテナみたいなことになっています。
■できるようになると説明できない
語れないんだけど、知っていることって結構あるよねっていうのは、まあ体感的にはなんとなくよくわかる話かなと思います。脳科学の中でも説明されてるんですよ。だから何かを学習するとか、スキルを身につけるとかっていうのは段階を経るんですね。
最初は認知段階と呼ばれて前頭前野ですね。
めちゃくちゃ頭を使いながら、海馬と前頭前をフル稼働しながらやるんですよ。
だからワーキングメモリーをフル稼働してやるんですよね。
車の運転を考えるとわかりやすいですね。
最初は気を張ってやるわけですよね、教習所とかね。次はこれやって、次はこれやって、指さし確認してとかやるんですよ。
慣れてくるとですね、連合段階、自律段階等を経てこっち側に行くんですよね。
基底核とか小脳系とかを介するようなって、こっち側に移るんですね。
習慣化していくということなんですけど、なんとなくわかりますよね。
だから運転できるようになってくると、無意識に全部やっていて簡単にできるようになってくると、人に教えるときは、自分で運転しているときの様子を思い出しながら、こういうときはこうだなとか教えたりするんですね。
できるようになると説明ができなくなるという感じでもあるんですよ。
海馬に保存されていた情報、前頭前野に保存された情報が小脳の方に移ってきて、基底核ループの方に入っていくので、その習慣に含まれると、前頭前野と海馬の情報はなくなるんですね。
だから思い出せなくなるという話ですね。習慣化されると。
その都度、習慣化されたものをもう一回作り直さなきゃいけないですよね。
ジェネレイティブしなきゃいけないという。
だから教えるというのは何かというと、この自律段階に来たものをもう一回認知段階に引き戻すことなんですよ。
教えることによって、だんだん自律段階に入ってこうなっていくということなので、達人になるというのは、このループを繰り返すことなんですよね。
人間はよくできていて、習慣化すると今度はサボり始めるんですよ。
運転も最初は上手かったのに、だんだん慣れてくるとミスが増えてくるじゃないですか。
だから習慣化すればそれでOKってわけじゃなくて、習慣化しても忘れていくんで、やっぱりもう一回戻らなきゃいけないですよね。だから運転してても時々人に教えたりとか教わらないといけないなとか。言いますよね。
だから更新制度が必要だったりするじゃないですか。それはこういう理屈なんですよね。
そういう理屈を知っておくと、説明ができないのは普通だなと思いますね。
当たり前のことは説明できないんですよ。親も教師もお医者さんもね。そういうことですね。
これを知っているとイライラしないのかなと思いますし、実際自分たちも説明できない。
僕もよく子どものとき「説明しろ」と言われましたけど、「できないよ」と言ってたんですけど、誰も信じてくれなかったんですけど、あのとき言えばよかったですね。「ポランニーのパラドックスとかあるでしょう」とか言ったらよかった。
習慣化したこととか、無意識のことは説明できないんだよって言えたらよかったのかもしんですけど、2、30年を経て今こうやってね、当時言い返せなかったので説明してるところですけど。こんな感じですかね。
脳の説明って結構難しいんですよ。こういう個々の話から、基底核状態とかを通じて報酬系に流れていく。そして報酬系と小脳とかと連合して、いろんなネットワークを作って習慣化して固定化していくってことですね。
だから最初のうちは頭を必死で汗かきながら、ワーキングメモリーを使いながらやってたのがループ構造、習慣化していくと無意識にできるのです。自動的にできるようになるんだけどという話なんですけどね。自動でできるなというとこれを忘れてしまう。
だからその都度もう一回戻りなおして教える。どうだったっけと。
自分でもう一回言語化し直そうということによって、習慣化された力というのは練度が増すということです。
ということで、今回はなぜ我々は当たり前を説明できないのかというテーマでお話ししました。
■本日の宿題
説明できないけどできること、昔はなんかできなかったけどできるようになったことなどを書いてもらうと、いい学びになるかなと思います。
なぜ我々は当たり前を説明できないのか
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