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00:00 OP
03:04 防衛的悲観主義
04:50 良くない理由
06:17 存在の肯定
08:47 嫉妬への合理化
10:15 存在の肯定は難しいけれど
12:26 本日の宿題
本日は「人生は暇つぶしだと考えるべきなのか?」をテーマにお話ししようかなと思います。
精神科の治療はどういうものなのか、治癒はどの状態なのかを説明するのに、「仕方がない」とか、「生まれてきてよかったなんだよ」と説明してるんですよね。
なぜそういう言い方をするかというと、精神科の治療は何なのかよくわからないですよね。
治癒がどういう状態かよくわからないですよ。
なんとなく不安がなくなるのかなとか、なんとなく幸せになることなのかなとか。
なんとなく働いていっぱい稼げるようになることなのかなと皆さん思ってますけど、全然そういうものではないんですよね。
治癒とは何かと言ったときに、感情やトラウマに支配されず合理的にものを考えられることなんですけども、それをわかりやすく日常語で言うのであれば、「仕方がない」と思えること。仕方がないと割り切って次の行動に移せること。
そして「生まれてきてよかった」と思える瞬間が一度でも人生にあることです。それを目指せること。
こういうことなんですよね。
仕方がないと思えればこっちがわかるし、こっちがわかればこっちもわかるという相関的なものなんだよという言い方をしています。
僕は色々なところで講演会をしたり、質疑応答を受けるときによく聞かれるのは、「どういう状態が治癒なんですか」「仕方がないとは何ですか?」とよく聞かれます。
うつ病って何ですかとか、うつ病はどうやったら良くなりますかとか、そういうことはあまり聞かれないです。
どちらかというともうちょっと感覚的なもの。
「私は焦ってるんですけど、どうしてですか」
「どういう風に声をかけたらいいんでしょうか」
「どういう心持ちで相手と接すればいいんでしょうか」
とかよく聞かれます。
それを説明するときに、やっぱりこのゴールや理想形を体感していく。
これがつかめていないと、小手先のものになってしまう感じですね。
これも色々な角度から説明したりしてるんですけど、今回はこの「暇つぶしだと考えるべきなのか」から考えてみようかなと思います。
「生まれてきてよかった」がやっぱりみんな嫌みたいね。
苦しすぎる、もっと簡単な言葉にしてほしい、もっとくだけた表現の方がいい、生まれてきてよかったよりも生きててよかったに変えてくださいとかよく言われますけど。
いや、違うんですよね。これでしかないんよね。それは本当にそう思います。
■防衛的悲観主義
暇つぶしだと考えるべきなのかということですけど、人生は暇つぶしなんだよ、だから深刻に考えるもんじゃないんだよ。だから楽しくやった方がいいよと。
最近よく使われていたり色々なところで聞く言葉ですね。
これはどういうものかというと、心理学的に言うと、防衛的悲観主義の一種だということなんですね。
だから最悪なんだと。生きてることは価値がないんだと思っておけば、何か嫌なことがあっても、「まあそんなこともあるだろうな、そもそも最低だから」と思えるわけですよね。
人生は最低なんだから、嫌なことが起きても想定の範囲内じゃないかということですよね。
「最初から期待しない」というやつです。
あそこに行ってもおいしくないだろうなと思っていれば、食べてもおいしくなくてもですねいいし、ちょっとおいしかったら儲けもんみたいな感じですよね。
期待しないことで自分の心を守るというものの一種だということですね。
結構似てるものもあるんですよ。
例えば「生きてるだけで丸儲け」とかさんまさんが言いますけど、これも防衛的悲観主義ですよね。
生きてるだけでいいんだよというのも一つ。
「人生は無意味なんだ」
「宇宙というのはそもそも勝手に発生したものだから、価値があるもんじゃないんだよ」
「価値というのは人間が勝手に作ったものだよ。脳みそが勝手に作ってるんだよ」
これもそう。
あと仏教は、「この世はそもそも四苦八苦」だよと。
苦しみに満ちているんだよって言ったりして。
偉いお坊さんやお釈迦様が言うなら共感してもらえる、救いというのがあったりする。
■良くない理由
これも1つなんだけども、あまり「暇つぶしだ」と言うのはよくないんだよね。
つまりが良くないかというと、暇つぶしで無価値ならば、自死、自殺も良いのではないかという問いに対して答えられないんですよね。
あなたは暇つぶしだ、楽しめばいいと言ってますけど、私はもう楽しめません。
お金もないし、貧乏だから楽しめません。あなたと違って孤独なんです。独身なんです。家族もいません。家族から虐待をあなたはされてないですよね、私はされてきたしトラウマがある。
それは海馬に深く刻み込まれていて忘れられないんだ。
私は発達障害だから忘れられないんです。それは医師によっても証明されていることでもあるし、日本以外の国であれば、安楽死の要件を満たせるほどです、みたいなことを言われた場合。
その場合自死を止められないんですよね、この表現だけだと。
それだと答えられないんですよ。
精神科臨床において軽い人もいれば重い人もいるんだけど、重い人に対して暇つぶしだとは口が裂けても僕らは言えないという感じです。
■存在の肯定
生きてることに価値があるというか、存在を肯定してあげること。
暇つぶしだというよりは、もっと肯定していかなきゃいけないんだという風によく思います。
だから「良かったんだ」と言わなきゃいけない。「良かった」と言う必要があるんだよね。これ本当にそう思う。
Bad Storyだったとしてもそのストーリーに価値があるんだよね。
楽しいから価値があるとかじゃないんですよ。
存在そのものに価値があるんですね。
だからさんまさんの言う「生きてるだけで丸儲け」というのは、この存在の肯定なので正しいなと思います。
ここなんですよね。存在の肯定なんですよ。
優れているから肯定されるとか、優しいから肯定されるとか、存在の中の優劣とか、存在の中で右にいるから価値があるとか、左にいるから価値があるとかじゃないんですよね。
そうじゃなくて、存在している、時間が流れてもなお過去には存在していたことに価値があるということですね。難しいですね、これは。
これがわかるかどうかというのが肝なんですよ。
悪人さえも存在している。そしてそれは必要だった、存在の肯定ですね。
ただ、この存在を肯定するというのは苦しいわけですね。
結局なぜ苦しいかというと、全員に価値があるということを認めると、嫉妬してしまうわけです。
みんな価値があるということは、あいつにも価値があるのかというので苦しい。
例えば、人類はこれを強烈に経験したことがあるんですよ。
ユダヤ教からキリスト教に移行した時ですね。
ユダヤ教というのはユダヤ人たちが民族的な迫害を受けて、悲惨な歴史の中で、救世主というのはユダヤ人のみに現れるんだと言った。
ただそれが、キリストが「民族によらず皆救われる」と言ったわけですよね。神を信じる者がね。
ここなんだよね。
そこを乗り越えられるかというのが結構重要なポイントですね。
乗り越えられないから苦しいし、益田先生、生まれてきてよかったと言わないでくださいとなる。
■嫉妬への合理化
この防衛的悲観主義、人生を暇つぶしだと言うのは、この嫉妬の合理化なんですよね。
つまり、存在に価値があるんじゃなくて、存在価値がないんだ。だから私にも価値がないしあなたにも価値がないよねということですね。
そうすれば、あいつにも価値がないなら、あいつも苦しんだと思えば納得できる、嫉妬を抑えられるんですよね。
こういうのを合理化と言ったりします。
これは防衛機制の一種、ストレスを受けた時の人間の反応の一種です。
イソップ童話の「酸っぱいブドウ」が良い例ですね。
★動画の文字起こしはこちらのnoteに【全文掲載】されています。
https://note.com/wasemenblog
(文字起こし自体がない動画もあります)
人生は暇つぶしだと考えるべきなのか?
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