地方自治体への寄付をしてお得なサービスを受けられる「ふるさと納税」は近年、その人気から想定以上に都市部から地方への税金の流出が膨らんでいます。この事態に東京・世田谷区では区長が自ら街頭に立って区民に現状を訴えました。
自分で選んだ自治体に寄付をするとお礼の品がもらえる、お得な「ふるさと納税」は、納めた寄付金から自己負担額の2000円を引いた金額が翌年、住んでいる自治体に支払う住民税から控除されることで大人気です。ふるさと納税を利用した人からは「4年ぐらい前からやっています」「地方の一推しのものを送ってくれるので、とてもおいしいし新鮮」「私はお米。うちは子どもがいてお米を結構食べるので。住民税が減税されるのもいい」といった声も聞かれます。利用者は年々増加していて、2016年度はおよそ1300万件、寄付の総額は前年度に比べて1.7倍で、3000億円に迫る金額です。
利用者にとってお得なこの制度に、近年問題が持ち上がっています。人気の過熱により、都内ではふるさと納税による地方への税金の流出が相次いでいるのです。渋谷区の長谷部区長は「来年は(他自治体への寄付が)2倍になるんじゃないかという勢いを感じている。直接区の収入を食ってしまうので、出費として大変痛い」大田区の松原区長は「年々影響額は大きくなってきている。今のやり方はちょっと過熱し過ぎているのではないか」と話します。
中でも深刻なのが世田谷区です。世田谷区は今年度の減収額がおよそ31億円に上り、学校1校分の改築費に相当する額になる見込みです。区内では31日、保坂区長と担当の職員が区の現状を知らせるパンフレット800枚を配布しました。世田谷区の保坂区長は「世田谷区への影響も大きくなってきた。(流出額が)さらにどんどん増えて100億円というような額になると、いろいろものを諦めたり先延ばしたりしなければいけない」「ふるさと納税をする場合には、足元の区も見てほしい」と訴えます。
東京都は今年度、減収額が466億円と全国最多で、中でも世田谷区はワーストワンとなっています。この現状に世田谷区民からは「ふるさと納税自体は悪いことではないと思うので、うまいバランスでやってもらえるといい」「区民から集めた税金を行政が配分して、区内で使うお金として成り立つようにするのが正常なのでは」といった声も聞かれました。
世田谷区では新たにふるさと納税をしてくれた人に対して記念品を用意するとともに、区民でも世田谷区にふるさと納税ができることを今後も呼び掛けていきたいとしています。
「ふるさと納税」で地方へ税金流出 世田谷ピンチ
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