東京湾の中央防波堤埋立地は、東京・江東区と大田区の2つの区が、共に「自分たちの土地だ」と主張しています。懸案となっている中央防波堤埋立地はそもそもどんな場所なのでしょうか。東京都の許可を受け、現状を取材しました。
およそ1000ヘクタール=東京ドーム200個分以上に当たる広大な土地では、今も廃棄物の埋め立てが続いていて、工事用やごみを運ぶ車がひっきりなしに行き交います。このうち、北側の部分はすでに埋め立てが終わり、排水処理施設などが運営されていて、南側の部分はまだ埋め立てが進められています。
東京都環境局・廃棄物埋立管理事務所の梅村清所長は「東京23区から出る廃棄物を埋め立て処分している場所。(具体的には)清掃工場で燃やした後の焼却灰を穴を掘って埋めて、その上に土をかぶせる。その層をサンドイッチのように積み上げていく。土をかぶせることで飛散や臭気の問題を解決できる」と説明します。
都内の廃棄物を埋め立てているこの場所が今後、いっぱいになることはないのでしょうか。梅村所長は「埋め立てが完了すると、さらに沖合いを順次埋め立てていく予定。50年以上使えるとみている」と語ります。
一方、埋立地内を横切る運河には東京オリンピックのボート・カヌー会場が建設される予定で、2016年12月から工事が行われています。オリンピックに向けた準備は進んでいますが、この場所を巡る“領土問題”は解決するめどが立たないままとなっています。
<江東区と大田区 どちらにも言い分>
いまだ決着の見通しが立たない中央防波堤について、江東区と大田区でそれぞれ長年暮らす住民に話を聞きました。
江東区内で生まれ育ち、東砂の町内会長を務める石橋久史さん(78)は、埋立地に運ばれるごみが江東区内を通ってきた経緯を振り返り「江東区内中、(収集車から出る)ごみの汁が垂れ流しのような形。臭いはするし、収集車が東京中から集まってきた。ごみというと、江東区とセットのフレーズのようになっていた時期もあった」と話します。埋立地について石橋さんは、ごみ問題で苦労してきたため、全てが江東区に帰属すべきと考えてきました。今回の調停案については「長い期間を経て造成できた土地。第三者が公平に見て法律などを論拠に決めたものなので、受け入れるのが妥当では」と話しています。
一方、大田区の住民にも譲れない思いがあります。東京湾でノリの養殖業を営んでいた大田区の石井五六さん(90)は、およそ50年前、埋め立て工事のために漁業権を放棄しました。石井さんは「吹きさらしの所で、手でノリをつかむ・摘むので、手がかじかむ。船の板で手をたたいてまひさせることまでやった、大変つらい仕事だった」と振り返ります。この上で石井さんは、大田区が調停案を拒否したことについて「本来は120%大田区の土地。大田区の漁民がどうだったのか、区民以上によく知っているのが松原区長。区長の怒りは当然だと思う」としています。
<大田区が拒否 今後は?>
土地の帰属問題は今後、どのようになっていくのでしょうか。今後の流れをまとめました。
東京都の調停案に対して大田区が不服を申し立てたため、都の委員によって「調停のやり直し」、または「打ち切り」が判断されます。「やり直し」の場合は再び帰属の割合を都が示し、2つの区が議会で協議します。「打ち切り」となった場合は、大田区が江東区を提訴するため裁判で争われますが、同時に「知事の判断」に委ねることも可能です。その「知事の判断」を江東区、大田区が共に受諾すれば境界が確定しますが、「知事の判断」に対して不服ならば、区が都を提訴し、知事の判断に委ねること自体を裁判で争うことになります。
2017年7月に2つの区が東京都に調停を申し入れた際には「3年後の東京オリンピックまでの解決を目指す」としていましたが、他の県の事例を見ると、裁判では決着まで3年以上かかっていて、東京オリンピックまでに実現するのは難しくなりそうです。今後、裁判以外の方法で江東区、大田
中央防波堤“領土問題” 現状は?当事者の思いは?今後は?
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