2020年の東京オリンピックに向け、東京都内各地で特色あふれる取り組みが進められています。「映画の街」として知られる東京・調布市は、前回=1964年大会当時の様子を収めた記録映画を専用のサイトで公開していて、54年前に撮影に参加した人たちは、再びやってくるオリンピックに期待を寄せています。
調布市の郷土博物館に所蔵されている16ミリフィルムは、市が制作した1964年東京オリンピックの記録映画です。郷土博物館の学芸員・金井安子さんは「当時の市長が映画畑の人だったので、調布市はさまざまな市政をPRする映画を作っていた。ちょうど1964東京五輪の頃に調布市の人口も10万人を超え、大きなスポーツの国際イベントが行われたので、記録に残そうとなったのでは」と語ります。
映画の長さはおよそ16分で、市内を通る聖火リレーや競歩などの映像が収められています。聖火リレーの練習風景には、トーチを持って走る高校3年生の男子生徒の姿も写っています。男性は、現在、調布市内で不動産業を営む堀江春洋さんです。堀江さんは当時、学校の担任教師からの勧めで、聖火ランナーを引き受けたといいますが、練習の記憶はほとんどないと振り返ります。そして、聖火リレー当日は小雨が降る中、電気通信大学から警察署までのおよそ2キロを10分かけて走りました。
堀江さんは、自分の名前が彫られたトーチを今でも大切に持っています。2020年大会が決まってからは、会社に飾るようになったといいます。堀江さんは「(聖火のトーチは)結構重いんですよ。トーチを見た人からはすごいねと、珍しい物を見たという反応がある」と語ります。そして「生涯にわたっての記念。僕にとっては貴重な記念品」と話してくれました。
調布市の聖火ランナーは3人で、中学と高校で走り高跳びの選手として東京都大会を制した大塚一郎さんもその1人です。大塚さんは「当時、走る時は真っすぐ向いて、横を向くなと指導された。今の時代の聖火ランナーは気楽に、にこにこ手を降って走っているが、当時は全然そういう雰囲気でなかった」と思い出を語りました。その後も大塚さんは陸上競技と関わりの深い人生を歩み、世界陸上や東京マラソンで審判員を務めました。大塚さんは「子どもたちが感動して、地元から五輪選手が生まれれば、そんなうれしいことはない。やはり地元で五輪が開かれるというのはすごいこと」と語っています。
映画には、男子マラソンで銅メダルに輝いた円谷幸吉選手の力走も収められています。かつて、円谷選手と共に自衛隊の駅伝チームに所属していた西片甫さんは「『円谷、頑張れー』ってコースに飛び込んで行くわけにいかない。沿道の歩道は警備員と観客でいっぱいだった」と、当時を懐かしく振り返ります。それでも西片さんは、沿道から円谷選手の調子の良さが分かったといいます。西片さんは「円谷選手は余裕で折り返し地点を回っていた。フォームを見て分かった」と懐かしみました。
それから54年がたちますが、西片さんは円谷選手との思い出を今も大事にしています。西片さんは円谷選手との写真を手に「私が円谷さんになれなれしく手をかけているでしょう。(円谷さんは)弟的な存在で、真面目一本という男だったですね」と語りました。
オリンピックに関わるさまざまな人たちの生き生きとした様子を収めた記録映画を見てもらい、調布市は大勢の人たちにオリンピックの楽しみ方を映画から感じてほしいと話しています。
■記録映画「私たちの見たオリンピック」…YouTubeの調布市公式動画サイトで公開
1964年東京五輪に沸く東京・調布 貴重な記録映画
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