東京商工会議所が毎年、厳しい経営環境の中でも勇気ある挑戦を続けている中小企業やグループを表彰する「勇気ある経営大賞」で、創業100年を超える料理道具の専門店が初めて優秀賞を受賞しました。老舗を苦境から復活させた経営者を取材しました。
東京商工会議所主催の「勇気ある経営大賞」の授賞式が10月11日に行われました。今年の応募総数は149社で、この中で初めて優秀賞に選ばれたのが台東区のかっぱ橋道具街にある料理道具の専門店、株式会社飯田です。飲食店不況といわれる中、10人のスタッフで料理道具店を年商3億円を超える店舗に成長させたことが評価されました。
かっぱ橋道具街の中ほどにある店を、社長の飯田結太さん(32)に案内してもらいました。飯田さんは「うちは料理道具に関してはカテゴリーをかなり持っている。例えばおろし金なら160種類、フライパンなら200種類、おたまは2000種類ぐらいある」と話します。例えばずらりと並んだ「皮むき器」だけを集めた棚もあります。飯田さんが紹介するのは、一見よくある皮むき器にも見えますが、硬いカボチャの皮も簡単にむくことができる優れものです。飯田さんは「これがすごい切れ味。年間で5000本ぐらい売れる」と話します。
家庭で使える便利グッズからプロ用の業務道具まで、8400種類以上の商品が並ぶ飯田が創業したのは1912年のことです。もともとは建具を売る店としてスタートしました。その後、精肉店向けの道具店を経て料理道具店になりましたが、飲食店不況のあおりを受けて、2000年代には業績が悪化しました。飯田さんは当時を振り返り「いろいろな商品を置いていた。肉を入れるバットやプラスチック製のお皿、看板などの店舗装飾品…。飲食店に関わる道具がいろいろ、いっぱいあった」と話します。
気付けば店の特色を絞れず、さまざまな商品を並べていた時、転機となったのが1つの「大根おろし器」でした。飯田さんは「おろし金を探しに来たお客さんがいて『この中でどれが一番軟らかい食感になるのか』と聞かれた。僕は使ったことがなく『ちょっと使ってみましょうか』と、一緒になって大根をおろした。それで、実際に食べてもらったら『どれも軟らかくないよ』と言われた」と振り返ります。それをきっかけに、店舗装飾など幅広く取扱っていた商材を料理道具だけに絞り、1つのジャンルの品ぞろえを強化しました。実際に使って機能を確かめた上で、お客さんのニーズに応える店づくりへと変えていきました。
飯田さんは「正直、1年に1個しか売れないものもある。でもそれでいいと思っている。『これ、あったんだ』と思えるような品がそろっている店ならつぶれないと思う」といいます。経営の視点を変え、探していた商品を必ず提案できることを目指したことで信頼を得て、お店を成長させることができたと語る飯田さんは「次のチャレンジは、料理道具を試せてから買える『試せる料理道具屋』。それを飯田屋で実現したい」とこれからの経営の夢を語りました。
東商「勇気ある経営大賞」 苦境から復活…料理道具店の経営改革
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