東京の三鷹駅近くに、普段は店員が1人もいない「無人の古本屋さん」があります。開店してから5年間、本は盗まれることなく、順調に売れているといいます。その裏には、お客さんとの信頼関係がありました。
JR三鷹駅北口から歩いて15分ほどの商店街の中にある店は、看板は黒塗りになっていて、店の名前も書いてありません。中に入ってみると店員もいません。500冊ほどの本が並べられた棚があるだけの無人販売の古書店です。
この店では月に150冊から200冊ほどの本が売れているということです。レジもない店でどのように本を買うのでしょうか。その答えは店先にありました。本の購入は全て、通称「ガチャガチャ」=カプセルトイの小型販売機で支払う仕組みになっています。置いてある古本には値段を表すシールが貼ってあり、その金額分のカプセルを買って、中に入っているビニール袋に本を入れて持ち帰る仕組みなのです。
平日は会社員として働いているオーナーの中西功さんは、このようなお店をつくることになったいきさつについて「本をたくさん買っていたら、かなり多くの冊数がたまってしまった。奥さんに『どうにかしてよ』と言われて、本屋をやってみたいと思ったのが始まり」と語ります。そして、「サラリーマンを続けつつ本屋を成立させるとしたら、人に依頼するか、無人でやるかのどちらかだった」と語ります。
中西さんが店を訪れるのは週に2回ほどで、いずれも15分ほど、店の片付けをする程度だといいます。中西さんは「お客さんがきれいに使ってくれるので『手がかからない子ども』のようなもの」と笑います。2013年4月に店を始めてからもうすぐ6年となりますが、書店での万引被害が社会問題となる中、この店ではオープン以来、本は盗まれていないということです。中西さんは「本好きしか入らないため、盗難がないのでは」と話し、この店の仕組みも「善意で成り立っている」と、客を信頼しています。中西さんは「店内に木箱を置いていたら、お客さんが本を入れてくれるようになって『この本を使ってください』と寄付してくれる」と話します。
店では主に客が寄付した本を売っていて、時には、励ましの手紙や地方からのお土産が送られてくることもあるといいます。中西さんは「有人の店舗でも、店主とお客さんのコミュニケーションはあまりないと思う。無人なんですけど、人の交流は普通の実店舗よりあるのかも」と語り、このような直接対面しない“無人ならでは”のコミュニケーションが店の良さだと感じています。
中西さんはこの「無人の古本屋」を全国に増やしていきたいと夢を語りました。
無人の古本屋さん、5年間で盗難ゼロ 「会わなくても信頼」
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