アメリカ国防総省高官によると、ロシア軍は首都キエフへの進軍を完全に停止したという情報があります。その一方で、ウクライナ国防省によると、今後のロシア軍は「東部ドンバス地方の解放に集中できる」という情報もあります。また、ウクライナのマリウポリの住民が1万人以上もロシアに強制連行されたという情報があります。ロシア軍の真意はどこにあるのか?専門家にききました。
■露軍 東部に集中 首都はあきらめた?
山形純菜キャスター:
オンライン形式などで断続的に続いていた停戦交渉について、ロシアとウクライナの代表団は対面形式の停戦交渉を今週前半にトルコで開催する見通しを示しました。
ロシア側は「3月29日から30日にかけて対面で交渉する」と発表。
一方、ウクライナ側は「3月28日から30日にかけ、交渉が行われる」とし、停戦交渉の日程についてロシアとウクライナで“ずれ”が生じています。
その停戦交渉を前に、ウクライナのゼレンスキー大統領はロシア独立系メディアに対し、「ロシアの要求について“妥協が可能”」という発言をしました。
〈“妥協が可能”なポイント〉
・ウクライナの中立化
・非核国であること
協定締結の条件として
「第三国による保証、国民投票の実施」
を挙げています。
一方で「受け入れられない、譲れない要求」としては、
・ウクライナの非軍事化
・ウクライナの主権と領土の一体性
という話をしています。
こうした中、ロシア軍の作戦が変更したという情報もあります。
まず、アメリカ国防総省高官によりますと、首都キエフについて
「空爆や砲弾は続いているものの、ロシア軍は進軍を完全に停止した」と発表。また郊外の街「マカリフ」については一時、ロシア軍が制圧したとみられていましたが、ウクライナ軍が奪還したとの情報も出ているということです。
一方で、ロシアの国防省は3月25日、「特別軍事作戦の第一段階の主な任務は達成した」とし、今後は「東部ドンバス地方の解放に集中できる。東部の制圧に力を入れていく」と発表しました。
また、ウクライナの国防省は、「ロシアのプーチン大統領の焦点は、南部と東部に移った」としました。どういうことかといいますと
「プーチン大統領はウクライナに北朝鮮と韓国を作ろうとしている」
「ウクライナの南部と東部を本国から切り離し、ロシアとロシアが一方的に併合しているクリミア半島を結ぶ陸路を確保する狙いなのではないか」
と指摘しています。
ロシアとクリミア半島の間には「マリウポリ」があります。以前激しい攻撃を受けていますが、この「マリウポリ」について、ロシアメディアは3月26日、「ロシア軍が1週間以内に制圧するのではないか」と報じています。
ホラン千秋キャスター:
畔蒜さん、ウクライナ東部にはかなり強くロシアの影響が及ぼされている地域があると思うんですけれども、ここにあえて兵を派遣する、戦力を集中させるというのはどのような意味があるんでしょうか?
笹川平和財団主任研究員 畔蒜泰助さん:
そうですね。やはりここ1週間以上、キエフの状況、戦況がほとんどこう着状態というか、むしろ押されているという状況の中で、ロシア側としては国内的に「ロシアが勝利した」というための一つの理由付けとして「ウクライナ東部を我々が救済したんだ」と。そういう形の作戦に修正したという可能性があるということだと思います。
ホランキャスター:
そうすると、東部では具体的にどのような展開が予想できるんでしょうか。
笹川平和財団主任研究員 畔蒜泰助さん:
恐らくまずは、マリウポリを完全に制圧をすると。そして、ドネツク、ルガンスクの本来の行政管区のほぼ3分の1ぐらいしかまだコントロールしていませんので、それをできるだけ多く支配地域を広げていくと。そういう方向に向かっていくんじゃないかと思いますね。
井上貴博キャスター:
畔蒜さんがおっしゃったように、プーチン大統領の作戦があまりうまくいっていないんだと仮定すると、プーチン大統領はイライラが募りますね。そういった中で、“化学兵器”などに手を出すリスクというのは相対的に高まるという考え方はできるんですか。
笹川平和財団主任研究員 畔蒜泰助さん:
おそらくですね、今のキエフへの作戦を強行するのであれば、そういう可能性は出てくるということなんでしょうけど、今のところむしろ軍も含めて東部に作戦の中心をシフトしていくということですので、現時点でそのリスクが大きく高まっているとは考えられないと思いますね、
井上キャスター:キエフを諦めるという考えですか。
笹川平和財団主任研究員 畔蒜泰助さん:
これは「現段階で」ということなんだと思います。先ほど、ロシア国防省も「第1段階の作戦がほぼ終了しつつある」という言い方をしていますので、最終的にどの段階で完全に終わるのかというのは、プーチン大統領しかわからないんだと思うんですけども、少なくとも「第1段階、現段階では東部に戦力を集中させる」ということだと思いますね。
■住民1万人以上をロシアに強制連行か
山形キャスター:
そして激しい攻撃が続いているマリウポリなんですが、マリウポリ市議会が3月24日、「生き延びた住民約1万5000人がロシアに強制連行された」と発表しました。
ロシアに行く前に「選別収容所」に行き、そこではパスポートなどが没収され、携帯電話をチェック、今後の対応を決定するといいます。どこへ連れて行かれるのか。詳しいことはわかっていないんですが、目的地としてロシア極東のサハリンも含まれているといいます。そこで仕事を提供され、同意すると2年間ロシアから出国禁止になっているということです。
井上キャスター:
畔蒜さん、強制的にということですね。
笹川平和財団主任研究員 畔蒜泰助さん:
人道的には非常に大きな問題ということだと思います。
井上キャスター:
プーチン大統領は、こういったところに力を入れていくことになるんすか。
笹川平和財団主任研究員 畔蒜泰助さん:
プーチン大統領が戦争を始めたロジックは要するに、「ウクライナの国民を救済する」ということですので、一応そういうプロパガンダとして、今回のようなロシア系住民の強制連行というのを利用する可能性があるということだと思います。
(28日20:20)
ロシア軍、マリウポリの住民1万人以上をロシアに強制連行か パスポートなども没収
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