岸田総理はワクチンの3回目接種について、1日100万回の目標を掲げています。菅前総理の時は、最大で1日170万回の時もありましたが、岸田政権でなかなか接種が進まない背景には何があるのでしょうか?
井上貴博キャスター:
まずは、ハイリスクな方に対して3回目の接種をしたいところですが、日本ではなかなか進んでいない現状があります。2月7日、全国の新規感染者数は検査陽性者とみなし陽性者数を合算した人数で6万8038人となっており、全国各地の実効再生産数(※)が落ち着いてきているものの、2月8日の死亡者数は113人と、昨年9月8日の第5波最多人数である89人を上回っています。
(※)実効再生産数とはある時点において1人の感染者が全感染期間に感染させる人数の平均値のこと
1月25日に岸田総理は「最初から1日で何人というのではなく、ルールに従って、できるだけ多くの方に接種してもらう体制をつくっていきたい」と述べていました。しかし、2月7日には「2月のできるだけ早期に1日100万回までペースアップすることを目指し、取り組みを強化する」と具体的な目標値を設定しました。
ワクチン接種推進担当大臣の堀内詔子氏は「閣僚の皆様方に追加接種におけるモデルナの積極的な検討、接種している模様の情報発信をして広報にご協力いただくようお願いしました」と政府としての動きについて発言しています。
井上貴博キャスター:
これは、やはりモデルナ製ワクチンの不人気が3回目接種のスピードアップに歯止めをかけていることに対しての発言なのかもしれません。
政府は2月1日以降、3回目接種の必要性や交互接種の有効性を訴えるテレビCMを打ち出しています。加えて、2月4日に「3回目接種に関する 前・現大臣からのメッセージ」と題した対談形式のPR動画を公開しましたが、再生数はあまり伸びていないようです。(※2月8日16時時点の再生回数1万1800回)
ホラン千秋キャスター:
政府も、あの手この手でワクチン接種を促そうとしていると思いますが、どんなアピールが足りないと星さんは分析されていますか?
星浩TBSスペシャルコメンテーター:
菅前総理のときは官邸主導で進めていましたが、岸田総理は厚労省主導でやってみたらどうだ、ということでやってきた。しかし役所という組織の場合、物事をペースの遅いところに合わせがちです。それが3回目の接種の遅れという形で現れ、業を煮やしているということですし、菅前総理のときは接種回数が1日100万回、最高170万回という日もあったので、それと比較すると接種が進まない現状に対して世論の批判が少しずつ広がってきてしまった。
そのため、まずは世論が納得できるような対応をとる必要がありそうです。大規模接種会場を大幅に増やすとか、目にみえる形での対策をしないと、追いつかなくなってきたと思いますね。
ホランキャスター:
ここからは国際医療福祉大学感染症学講座主任教授の松本哲哉さんにお話を伺いします。
1日100万回という目標値を2月の早い段階で実現できた場合、第6波の終息に大きく寄与するのでしょうか?
松本教授:
ワクチンを接種してもすぐ抗体価が上がるわけではありません。接種後、免疫の獲得までに2週間程度の時間を要します。そのため、今すぐ接種したとしても免疫の獲得は2月の後半になってしまいますし、2月中の接種を目指すということであれば、結局3月以降に免疫を獲得できる人達が増えることになるため、目標としている数が達せられたとしてもワクチン接種だけで今の感染拡大を大幅に抑制するのは難しいと考えています。
ホランキャスター:
亡くなってしまった方の数が増えていることが大変心配なのですが、松本教授はどうお考えでしょうか?
松本教授:
もちろんワクチン接種は重症化の予防効果があります。しかし、これまでに2回打った方でも免疫は、かなり低下しています。そういう方でかつ高齢者、基礎疾患がある方になってくると、肺炎そのものが原因で亡くなるというよりは、免疫機能だけではなく臓器機能の低下で亡くなられる方が多い。やっぱり高齢者が多いんですね。基礎疾患がある高齢者に対して早く、ワクチンが届いていれば防げた可能性は、確かにあると思います。
井上キャスター:
松本教授は3回目のワクチン接種が進まない原因はどこにあるとお考えでしょうか?以前はワクチン接種が進まない、主な原因として「ワクチンの数が足りない」「ワクチンの打ち手がいない」といった原因がありました。今回に関しては「ワクチンの数は足りている」けれど、モデルナ製の不人気というだけで説明がつくのでしょうか?
松本教授:
1月初期のオミクロン株感染者が増加したタイミングで感染拡大のペースが早いことを予測し、ワクチン2回目接種終了後、8か月待つのではなく3回目の接種を繰り上げるような施策を実施していれば今より良い状況を作れていたかもしれません。少し様子見のところがありましたので、結局はスタートが遅れ、準備にも時間がかかるため、そう簡単にはいきなり多くの人の接種はできないということだと思います。
井上キャスター:
1日100万回というのは具体的にどのような数値になるのか?これまでの接種状況を見てみると1月は1日20万回前後だったのに対して、2月に入ると1日50万回を超える日が出てきています。ですが、2月中にこの数字を倍増させなければなりません。年代によって回答が大きく異なると思いますが、JNN世論調査の結果では「既に3回目接種済み」11%、「すぐに接種したい(予約済みを含む)」33%、「急がないが接種したい」41%という結果になりました。
現役世代が多いアンケートだと「急がないが接種したい」という方の数字が多くなると思われますし、ハイリスクの方や65歳以上の方は「すぐに接種したい(予約済みを含む)」という方の数字が多くなると思われ、年代によって大きく分かれてくる3回接種の見方があります。
1日100万回のワクチン接種が可能かどうかについて専門家は次のように述べています。
東京歯科大学市川総合病院・寺嶋毅医師「オミクロン株は基礎疾患を重症化させるケースがある。そのため、呼吸器内科以外の科の対応も必要になり、病院全体としてワクチン接種に回す人がいなくなる」
防衛医科大学校病院・藤倉雄二医師は、「感染が急拡大し、人が集まるような場所にそもそも行きたがらないなどの理由で3回目接種に消極的な人が多い」のではないかと分析しています。
ホランキャスター:
接種するタイミングはそれぞれだと思いますが、概ね多くの方が3回目のワクチン接種を受けたいという意見が多いことに対して松本教授はどうお考えでしょうか?
松本教授:
少なくとも8割の方が既に2回接種されています。もちろん、副反応で辛い思いをした方もいるでしょうし、若い世代は打ちたくてもすぐに打てないという状況ではありますが、今の感染の状況を踏まえ、できれば早くワクチンを打ちたいと前向きに考えている方が多いことについて私自身は、良いことだと考えています。
(08日17:40)
【解説】打ちたい?様子見たい?“3回目接種1日100万回”政府目標の背景
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