なかなかワクチン接種が進まない日本。6日時点でワクチン3回接種が完了した人の割合は全体で5.9%、65歳以上の高齢者で11.8%です。一方、海外ではイギリス・韓国・ドイツは50%超え、アメリカも26.9%となっています。こうした国では日本以上に接種間隔を前倒しして接種を進めていますが、日本で接種率をあげるにはどうしたらよいのでしょうか。専門家にききます。
井上貴博キャスター:
ハイリスクの方に対する接種のスピードアップが必要と指摘される中、思うように進みません。2月7日、岸田総理は「3回目のワクチン接種を2月のできるだけ早期に、1日100万回までペースアップすることを目指して取り組みを強化します」と、新たに具体的な数値目標を設定したことを発表しています。
■海外と比較すると大幅に遅れている3回目接種率
海外と日本の現状を比較すると、国内のワクチン3回目の接種率は、全体では5.9%、65歳以上では11.8%です。1月下旬の時点では全体の接種率目標数値が12%程だったにもかかわらず接種が進んでいません。
一方、海外ではイギリス55%、韓国54.9%、ドイツ53.7%、アメリカでも26.9%という接種率です。
日本の接種率が低い原因として考えられるのは、ワクチンの接種間隔です。日本では、医療従事者や65歳以上の高齢者に対して、2回目接種からの間隔が6カ月、64歳以下は7カ月(予約に空きがあれば6カ月でも可)です。一方、イギリス・ドイツ・韓国においてはオミクロン株出現後、接種間隔を3カ月に前倒しをしており、アメリカも接種間隔を5カ月に前倒ししています。
国内の接種間隔前倒しが進まない点について、ワクチン接種推進担当大臣の堀内詔子氏は2月4日、次のように述べています。
堀内ワクチン担当相
「海外はどんどん前倒ししている話を伺うが、現状、日本では薬事承認が6カ月で下りている。そこを乗り越えるという判断は、政府全体で決めていくことだと私は思う」
■3回目接種を進めるために必要なことは?
ホラン千秋キャスター:
ここからは東京歯科大学市川総合病院医師・寺嶋毅さんにお話を伺います。日本は3回目のワクチン接種が進んでいない状況ですが、あと何が揃えば、3回目接種が一気に進むとお考えでしょうか?
寺島医師:
まず、3回目のワクチン接種が誰にとって必要なのかを理解してもらうことが重要だと思います。デルタ株流行時は、高齢者に対するワクチン接種が進んでいたので、高齢の感染者が少なく重症化が抑えられました。今回のオミクロン株では高齢者、特に80歳以上の方に関して、コロナウイルス感染による重症化を抑制できているものの、感染自体を予防できておらず、基礎疾患を持っている方は入院が必要な状況です。高齢で基礎疾患を持っている方に対して、早急に3回目のワクチン接種が必要であること、現場で求められているものは何か?が伝わることが重要であると考えます。
ホランキャスター:
3回目の接種は、世代によって今回の第6波に間に合う・間に合わないが出てくると思います。特に、若い世代は今回の第6波に間に合わないタイミングで3回目の接種を行い、接種効果が薄れてくる時期に新たな感染拡大の波に当たってしまうということが起こり得るのでしょうか?
寺島医師:
ブースター接種の効果がどのくらい持続するのか、次の波がいつ来るか分からないのが悩ましい点です。60歳以下の方、特に若い世代は何のために接種するのかを考える必要があると思います。理由として、若い世代は重症化しない傾向にあり、すでに2回目ワクチンを接種済みの場合、オミクロン株に感染しても、おそらく軽い症状で済むと考えています。
例えば今、医療従事者の感染が増加し、病院の機能に影響を及ぼしているのも、社会全体で感染が広がっているためで、高齢者施設に関しても、施設で働く若い世代を含めた従業員の感染など、いくつかの連鎖を経て、感染が広がっています。自分自身のための接種の必要性と、社会全体における必要性の2軸が打つタイミングに関わってくるのだと考えます。
■3回目接種が進まない理由「モデルナ製の壁」
井上キャスター:
ワクチンはあっても接種が進まない状況、「モデルナ製の壁」があります。東京都目黒区を取材したところ、目黒区のワクチン接種予約状況はファイザー製が全て予約済みに対して、モデルナ製はなかなか予約が埋まらないことが明らかになっています。
目黒区の担当者は「モデルナ製であれば今日予約して今日すぐに打てます、今の感染状況を考えると1日でも早く3回目を打ってもらいたい」とコメントしています。3回目接種におけるファイザー製とモデルナ製の副反応もほぼ同じと言われているにもかかわらず、モデルナ製には二の足を踏む方が多いという現状は変わっていません。
■モデルナ製でも接種が進む「狛江市」の事例
自治体によっては選択肢という考え方ではなくて、基本的にモデルナ製を打つことを軸に進めている
ところもあります。
東京都狛江市は、予約の9割弱がモデルナ製で、ファイザー製が1割強です。65歳以上の方に対しては原則、モデルナ製(接種券に記載し配布)を使用しています。会場・日時に関しても市が割り当てておりますが、ワクチンの種類については変更が可能としています。
狛江市に関しては、ファイザー製のワクチンが未だに届いていないということもあり、今は選択肢を示すよりもまず、原則としてモデルナ製で打っていただく。ファイザー製の接種を希望する場合は変更希望に応えるとしていますが、ファイザー製への変更希望者は1割程度だそうです。
狛江市では、モデルナ製ワクチンの安全性等、専門家の声を載せて、全世帯に独自作成のチラシを配布しました。交互接種は抗体価も高くなること、早く打てるのはモデルナ製であること、副反応は2回目接種後よりも軽いか同等であるということを示し、周知に努めた結果、狛江市はモデルナ製でもスピードアップしている状況です。
■海外では交互接種も積極的に実施されてる
ホランキャスター:
このような情報発信で、モデルナ製もファイザー製も副反応についてはほぼ同等だと示しても、感情的な部分でファイザー製を打ちたいという方がまだまだ多いようですね。
田中ウルヴェ京 メンタルトレーニング指導士:
「なんとなくファイザー製のほうが良さそう」と、感情的に考える方が多いことについては、ワクチンに対する理解を深める必要がありそうです。医療従事者や医学の専門家など、複数の意見を聞き入れ、それぞれのメリットとデメリットを理解し、自分が持つ考えと照らし合わせた上で判断するというプロセスが大事なのではないでしょうか。
井上キャスター:
寺島先生、最後にファイザー製とモデルナ製について、もう一度押さえていただければと思います。
寺島医師:
ファイザー製、モデルナ製のいずれも追加接種での効果が確認されており、特にモデルナ製は、1・2回目の半量で済むため、2回目までに起こった副反応を大きく超えることはないと思われます。今後は、3回目接種の効果が優れているという点、海外では多くの交互接種が実施されてるという情報を提供することが重要になってくるのではないかと考えています。
(07日17:49)
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