感染が拡大の一途を辿る新型コロナウイルス。オミクロン株が主流となったいま、対策のポイントは「広範な“人流制限”から“人数制限”」へと変わろうとしています。また、感染が急拡大した場合には「若年層で重症化リスクの低い人について、必ずしも医療機関を受診せず自宅での療養を可能とすることもあり得る」という見解も示されました。この理由や今後の展望について、解説します。
■東京 陽性者9699人 前週比+5648人
熊崎風斗キャスター:
やはりかなり陽性者数が増えてきているという現状がありますので、まずは「全国の新規陽性者数推移」のグラフから見ていきたいと思います。
1月20日は、全国で4万6197人を超える新規陽性者がいました。これが(1月20日時点で)過去最多でした。第5波、第6波となって、第6波は「オミクロン株」が主流というところがありますので、単純に数字を比較ということは難しいのかもしれませんが、数字だけで見ますと第5波を圧倒的に上回る陽性者の数になってきているということが言えます。
そして今後について、専門家組織メンバーらの見解では、「早ければ2週間前後でピークが到来する可能性がある」。ですから、この後もっと増えていくことが想定されます。2週間後と考えますと、2月上旬あたりがピークになってくるのではないかということです。
そして対策面について、これまでとの違いというのも見ていきたいと思います。従来ですと、「一律の外出、移動、自粛」など、「広範囲での人流制限」ということが言われてきました。今回はどう変わるのか。「感染リスクが高い場面、高い場所での人数制限による接触減」ですから、ポイントポイントしっかり対策対応していきましょうよという、従来とはこういう違いがあるということです。
上村彩子キャスター:
寺嶋先生、この対策の変更ということですが、内容についてどのようにご覧になっていますか。
東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科部長 寺嶋毅医師:
確かにワクチンも登場して、その全体的な人流制限という効果は見にくくなってきておりますし、感染リスクが高い状況も明らかになってきましたから、こういうポイント、ポイントの感染対策というのが大事。漠然とした外出がいけないっていうよりは、ポイントだと思うんです。一方で、自分がいくら気をつけていても例えば周囲の感染対策が不十分な場合というのは、やはりリスクがありますから、そういうリスクを下げるには、外出の回数そのものを減らすっていうこともやはり有効だと思うので、ここは誤解のないような表現がやはり必要なのかなと思います。
井上貴博キャスター:
寺嶋先生がおっしゃった通り、基本を変えずに、でもウイルスの株も変わってきているので、ワクチンを打ちましたし、これまでの対策のように「人流が全てダメ」から「屋内の人数制限」に使用ルール変更。これとても大切なシフトだと思うんですけど、寺嶋先生がご覧になって、医療のルール、入退院基準、また行政の基準ルール変更など、こういったところをもう少し柔軟にしてほしいなと感じるところがあればぜひ教えていただけますか。
寺嶋毅医師:
やはり感染者そのものの人数よりは、その中でどのぐらい入院が必要なのかという、その人数であったりとか、ただ、やはり感染者が増えてくると入院が必要な人数も増えてきて、だんだん入院のハードルが上がってしまって、入院が必要な人が入院できなくなるという事態も困りますから、やはりきちんとその感染者数の伸びの状況であるとか、その中で入院が必要な人が今どのぐらいいるのかということ。あるいは、どういう人が入院になっているかという所など、実情をしっかり把握して、医療に対する対策とか、社会全体での対策というのが必要なのかなと思います。
■若い世代は症状のみで診断?
熊崎キャスター:
今まさに寺嶋先生がお話した内容と通じるところがあるかもしれません。1月21日に公表された「検査」についての動きです。こちらも専門家組織メンバーらの見解です。感染が急拡大した場合には、基礎疾患のない重症化リスクの低い若い世代は、「必ずしも医療機関を受診せず、自宅での療養を可能とすることもあり得る」ということなんです。これは何のためなのか、まさに寺嶋先生のお話と関連するところです。感染が拡大すると、先ほどの数字だと2週間後にピークを迎えるのではないかという話もありました。感染疑いの人全てが検査、それから診療が必要になってくる。すると医療の機関のひっ迫というのも想定される。となると、本来医療を必要とする人たち、高齢者や基礎疾患のある人の医療確保や一般診療に影響が出てきてしまうと。
ただ実際問題、そうした「医療機関を受診せずに自宅療養」ということは可能なのでしょうか、オミクロン株の症状について見ていきたいと思います。
こちらは「年代別“肺炎以上の重症割合”(東京・神奈川・埼玉・千葉、2022年第1-2週)」のグラフです。
▼0~19歳・・・0.15%
▼20~39歳・・・0.26%
▼40~59歳・・・0.44%
▼60~79歳・・・1.51%
▼80歳以上・・・4.66%
やはり50歳以下、特に若い世代だと重症化するリスクはかなり低いというのは数字が物語っています。さらに専門家組織によると、「50歳未満の人の多くが軽症で自宅療養で改善している」。重症化もしにくいし、自宅療養で改善しているというデータもあります。
主な症状について、ここが一つポイントになるのかなと思います。ただ自分で症状を確認するといってもこれまで言われてきていた「味覚や嗅覚の障害」というのはあまりなく、割合として高いものは、
▼「発熱」・・・68%
▼「せき」・・・52%
▼「のどの痛み」・・・52%
▼「全身けん怠感」・・・38%
▼「頭痛」・・・35%
▼嗅覚・味覚障害・・・1%
ですから、これを他の風邪と分けて自分で判断していく難しさも当然あるのかなということは言えるわけですね。
上村キャスター:
寺嶋先生、「若い世代は症状のみで診断か」という話もありましたが、どのように診断するんでしょう、オンラインなどを使うということなんでしょうか?
寺嶋毅医師:
確かに、従来からオンラインを使って診断ということもありますけれども、いずれにせよ、やはり今は特にオミクロンになって風邪とあのコロナの症状分ける。症状から区別するというのはとても難しくなってますから、このような形からやはり不安や混乱を招かなければいいなと思ってます。というのは3つ大きな気がかりなことがあるんですけれども、1つはやはり症状がある人の不安感が拭えないということと、他の疾患の見落としに繋がりかねない。次に自主隔離であるとか濃厚接触者としての行動が、自分の診断だけでしっかりできるのか。曖昧になるとやはり、感染拡大に繋がりかねないということ。3つ目は逆に、実際はコロナでなかった場合は、特にエッセンシャルワーカーの人数というのも、すごく社会的に問題になってますから、そういうことの損失というのもやはり気になります。
上村キャスター:
牧嶋さん、やはり病院に行くだけでもリスクはあるわけですもんね。
TBS報道局 牧嶋博子解説委員:
そうですね。ただ若い人たちはそういうふうに診断をしないっていうことなんですけれど、今までコロナかもしれないと、ものすごく心が不安だと思うんですよ。かつ軽症といっても軽症は肺炎ではないということだけで熱は39度近く出たり、咳がもう止まらなかったりって結構、身体的には苦しい状態になると思うので、その不安感をどうやって解消するのかっていうことについて何かこう手を差し伸べるっていうんですか。何かがないとやはりあの、コロナかもしれないのに医者にかかれない診断を受けられないっていうのは、この不安をどうやって拭っていくんでしょうかっていうのが私は不安です。
井上キャスター:
そうですね。不安な部分ももちろんありますし、そうなんですけど、寺嶋先生がおっしゃったように、全員全員に網をかけるということが取れないのであれば、現実的に可能な方法として、ハイリスクな方をどう守っていくのか。そして若い人々はこうだから、先ほどの重症化リスクの数字もありましたけれども、やはり寺嶋先生、そこを分けて考えていくという段階に入っているのかなと思うんですが、いかがでしょうか。
寺嶋毅医師:
確かに若い方は実際にコロナの治療が必要なくても、良くなる人もいますけども、やはりしっかり検査をして診断というところまでは行くべきだと思いますし、今例えばその症状がない人で、無料の検査などが行われてますけれども、それよりはやはり少なくとも症状がある人っていうのは、きちんと検査できる。検査のキャパシティ内での調整ということ。もちろん高齢者、基礎疾患がある人というのは、やはりしっかり治療もされなくてはいけませんし、感染が広がるとそういうところも感染がいってしまうということも、社会の感染拡大を抑えるって意味では考える必要があると思います。
(21日18:07)
オミクロン株感染拡大 対策は広範な“人流制限”から“人数制限”へ【Nスタ】
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