岸田首相にとって、初めての与野党論戦となる衆院予算委員会が始まりました。焦点のひとつ、18歳以下への10万円相当の給付について、岸田首相は、地方自治体が一括での現金給付を希望した場合、容認する考えを示しました。急な方針転換に自治体からは困惑の声があがっています。
■“10万円現金一括”を容認ナゼ?岸田首相が方針転換
記者(12月13日午前7時半過ぎ)
「総理、おはようございます。初めて週末を公邸で過ごされましたがいかがでしたか」
岸田文雄首相
「はい。おかげさまで昨日もゆっくり、しっかり寝られたような気がします。今日(13日)から予算委員会も始まりますので、新たな気持ちで頑張りたいと思います」
12月11日、首相公邸に引っ越した岸田首相。
首相公邸はかつて五・一五事件や二・二六事件など「歴史の舞台」となったことから“幽霊が出る”といった噂がありますが・・・。
記者
「総理、幽霊などは見られましたか?」
岸田首相
「いえ、今のところまだ見ておりません」
岸田首相にとって幽霊の噂話よりも身が引き締まる就任後、初めての予算委員会が12月13日から始まりました。
本格的な国会論戦の冒頭、焦点の一つとなっている18歳以下の子どもへの10万円相当の給付について、岸田首相はこれまでの方針を転換する考えを示しました。
自民党 高市早苗政調会長
「地方自治体の負担を軽減するという観点から、本日現在、どのような方策を首相がお考えなのか」
岸田首相
「自治体の判断により、そして地域の実情に応じて、選択肢として、年内からでも先行分の5万円の給付とあわせて10万円の現金を一括で給付する形で今回の対策の内容を実行する。こうしたことも選択肢の一つとして、ぜひ加えたいと私は思っています」
10万円相当の給付をめぐっては、政府はこれまで現金とクーポンに分けて支給する方針を示していました。
しかし、クーポンでの支給は事務経費が967億円もかかることや、自治体からも「事務作業の負担が増える」などとして反発の声が上がっていました。
岸田首相はこれまでの方針を一転させ、「現金の一括給付」も選択肢の一つとの考えを示したのです。
ある政府関係者は・・・
政府関係者
「クーポンは役所が決めたことで、首相にはこだわりがなかった。首相は社会の反応を見て批判が多かったらすぐに方針転換する」
午後の審議で岸田首相は、野党側と対峙しました。
立憲民主党 小川淳也政調会長
「今になって年末一括10万円と突如首相がおっしゃっても、対応できるところはほとんどないんじゃないですか。判断が遅かったと思いますがその点いかがですか」
岸田首相
「私としても、できるだけ柔軟な制度設計に努めたいということをずっと申し上げてきたところであります。こうしたこの議論やさまざまな声をしっかり受け止めた結果、このより良い制度設計を行うというこの結果であると思っています」
自治体がクーポン給付できなかった場合、その理由を内閣府に提出するよう求めていますが、野党側はその条件を撤回するのか、問いただしました。
立憲民主党 長妻昭衆院議員
「10万円を現金に移行する場合ですね、要件というのがあるということですか」
岸田首相
「政府において10万円の一括給付、現金給付を認めるにあたって、何か特定の条件をつけて審査をするというようなことはありません」
一括給付について、自治体からは・・・
大阪府 吉村洋文知事
「岸田首相のこの方針に賛成です。できるだけ早く市町村に、どういう場合に10万円が認められるのか、そこを早く伝えてもらいたいと思います」
一方で・・・
栃木・小山市 総合政策課長
「もう既に12月23日に、1回目の給付金5万円を給付するという手続きに既に入っております。今回一括でということになりますと、振込み自体を遅らせなければいけないことになってしまいますし、市民の方に年内にお届けできるかというのも、ちょっと難しくなってくるかなというふうに考えています」
10万円相当の給付の急な方針転換に、さまざまな自治体から困惑の声が広がっています。
■「10万円給付」で“混乱”首相の指導力に早くも疑問符(スタジオ解説)
国山ハセンキャスター:
10万円相当の給付をめぐる急な方針転換。自治体からどんな声が上がっているんでしょうか?まずは横浜市の山中市長のコメントです。岸田首相の答弁を受けまして10万円全額を現金支給する方針を明らかにしていますが、こう話しています。
横浜市山中竹春市長:
既に5万円の現金給付は市民に通知した。残る5万円はそのあとになる。(13日)
国山キャスター:
また12月17日に5万円の振り込みを行う予定の静岡県掛川市の久保田市長のコメントです。
静岡・掛川市 久保田崇市長:
もう年内の一括給付は無理。もう少し早く方針を出してくれれば、そういう選択肢も取り得た。(13日)
国山キャスター:
今回の岸田首相の方針転換について、星さんの見立ては、「岸田首相の指導力に早くも“疑問符”がつく。そして、“実害”が出た」ということなんですが、どういうことでしょう。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
今回の給付金ですけれども、早く判断していれば12月に一括で10万円支払えたんですね。ところが各方面の意見を得意の「聞く力」で聞いていたところ、ずれ込んで、残りの5万円は1月以降だと。
地方議会は1月、2月ですので地方からすると、それ以降の2月、3月になってしまうということになります。岸田首相がいろんなところから意見を聞いた結果、支給も遅れて自治体にとっては同じ人に二度郵送するという二度手間になるという実害も出てしまったということですね。
国山キャスター:
加えて予算委員会では岸田首相は、石原伸晃氏のことを問われまして、混乱を招いたと陳謝しましたね。
星さん:
落選した石原さんを内閣官房参与に起用するという、もともと筋の悪い話ですけども、いろんなところの話を聞いた結果、岸田首相が情実人事をしてしまったと。しかし、石原さんに不祥事が発覚して、結局「辞退」ということになってしまったわけですよね。
国山キャスター:
では今後の国会論戦の注目点、ポイントはどこになるでしょうか?
星さん:
今度の難題は北京オリンピックの外交的ボイコットをどうするかということなんですね。これもアメリカと中国の言い分を聞いて足して2で割るというだけでは、日本の自主的外交とは言えませんので、岸田首相は中国の人権状況について、どのように考え、どういう外交的対応をするんだということを明確に打ち出す必要があります。そういう発信ができないと指導力に陰りが出てくるということになりかねませんね。(13日23:13)
岸田首相“10万円現金一括給付”を容認 地方自治体からは困惑の声も
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