新規感染者数が減少傾向にある一方で、全国の重症者数は2000人超えが続いています。こうした中で重症患者の受け入れが一極集中しないようにする「遠隔ICU」という新たな取り組みも・・・その仕組みとは?
軽症から重症までの患者を受け入れる埼玉医科大学総合医療センター。新規感染者の減少とともに中等症用のベッドに空きが出てきたものの、重症用のベッドについては、依然として、ほぼ埋まっている状態だといいます。
埼玉医科大学総合医療センター 岡秀昭医師:
重症患者は回復に時間がかかることもあり、まだ病床の空きは厳しい状況です。
そのうえで、政府が検討する行動制限の緩和については、こう指摘します。
岡医師:
緩和の規制というものは慎重にやって頂きたいという風に思います。気を緩めてしまいますと重症者がまだ十分退院できていない状況ですから、また患者さんの数がリバウンドすると、あっという間に後戻りしかねない状況だと思いますので、そういった緩和策は緊急事態宣言解除の後に検討していくものではないかなと現場としては思っています。
厚生労働省が、9月9日に発表した重症者の数は、全国で2173人。9月8日より38人減りましたが、14日連続で2000人台を推移しています。東京都も油断出来る状況ではありません。9月9日の午後に行われた都のモニタリング会議では・・・。
東京都医師会 猪口正孝副会長:
新規陽性者の減少にも関わらず、累積した入院患者数は9月4日に4351人と最多を更新いたしました。医療提供体制がひっ迫している中、新規陽性者数が再び増加に転じれば、危機的な状況になります。
東京都の基準による重症者数は300人に迫った8月28日をピークに減少傾向にありますが、依然250人以上で推移しています。年齢別では40代から60代の重症者が大半を占めています。
重症者を受け入れられる病院が限られている中、新しい取り組みも始まっています。
これは、埼玉県内にある病院の集中治療室の映像。重症患者が、人工肺「ECMO」につながれています。その様子をモニターで確認しているのは、集中治療が専門の讃井(さぬい)医師です。
自治医大附属さいたま医療センター集中治療部 讃井將満部長:
夫婦で重症になった方で、もうちょっとで(ECMOを)離脱できそうなんですけど。
讃井医師は、所属する自治医科大学附属さいたま医療センターとは別の病院の映像を見ながら、アドバイスを行っていたのです。これは「遠隔ICU」と呼ばれる取り組み。専門医が多くいる埼玉県内の2つの病院が、専門医が少ない4つの病院をオンラインで診療支援するというものです。
讃井医師:
もう一回CTをゆっくり下ろしていってもらってもいいですか?相当ひどいね、これね。
遠隔ICUでは、肺の画像やカルテなども共有されるほか、病室に設置されたカメラの遠隔操作も可能。患者の表情や、モニターの情報をリアルタイムで把握することができます。
讃井医師が中心となって7月から立ち上げた遠隔ICU。きっかけは“第1波の経験”にあると話します。
讃井医師:
昨年の第1波で、自治医大附属さいたま医療センターのECMO患者さんが爆発的に増えてしまって非常に大きな負担になったんですね。そういうことを考えると、やはりある程度(重症患者の)負担は分散されるべきであると。かつ分散された負担に対して、何らかの(診療の)質の維持を担保しないといけないと。
他の病院にも重症患者を受け入れてもらうかわりに専門的な知識でカバーする体制を築くことで、より多くの重症患者に的確な治療を行えるようになったといいます。
讃井医師(オンラインで他の病院の医師たちに向かって):
先生たちのおかげで多くの命が救われて。できるだけ長くかかりそうなのは自治医大で(受け入れる)。
讃井医師:
(デルタ株は)非常に経過が早いといいますか、重症化するまでのスピードがすごく早い方がいらっしゃる。実際どういう治療を行えばいいのかというのは実はけっこう現場で工夫しながらやっているのが現状なんですね。
一方「デルタ株」による第5波のいま、新たな脅威となる可能性があるのが「ミュー株」です。
東大などの研究チームはワクチン接種などにより体内で作られ、ウイルスの働きを抑えることになる「中和抗体」の効果について、分析結果を発表しました。
東大医科学研究所 佐藤佳准教授:
今回我々の結果では、今まで(ワクチンが)一番効かないと言われていたベータ株よりもミュー株の方が効かないです。
ミュー株は、他の変異株と比べて中和抗体の効果が最も低く、従来株と比べて、約7分の1まで低下したということです。南米コロンビア由来の「ミュー株」。日本ではこれまでに空港の検疫で2人の感染が確認されています。
佐藤准教授:
ワクチンを接種した人に対してのいわゆるブレイクスルー感染というものをミュー株は起こしやすい可能性はあると思います。
ただ、佐藤准教授は「ワクチン接種は、免疫の記憶が活性化されるなどの効果があるので、ワクチンが全く効かないということではない」としています。(10日00:08)
医療ひっ迫で「遠隔ICU」体制も、全国重症者2000人超続く
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