反政府武装勢力「タリバン」がアフガニスタン政権を事実上の崩壊に追い込みました。空港には国外に逃れる人たちが殺到。大きな混乱が広がっています。そもそもタリバンとはどんな組織なのか?なぜ全土を掌握できたのか?村瀬健介キャスターが解説します。(聞き手:小川彩佳キャスター)
小川:
元中東支局長の村瀬さんにお話を聞きます。
村瀬:
小川さん、突然ですけれど、この「タリバン」という言葉はどういう意味かご存知ですか?
小川:
この言葉の由来についてはそもそもすぎてあまり考えることがないですよね。
村瀬:
実はこれは「ターリブ」という「学生」を意味する単語の複数形でして、つまり「学生たち」という意味なんです。元々はイスラム神学校の学生たちを中心に結成された組織で、イスラム法に基づく厳格な統治を目指しています。
結成からわずか2年後の1996年にはアフガニスタンで政権を樹立しました。
小川:
あっという間だったんですね。
村瀬:
ところがこの2001年に大事件が起きます。
アメリカでの同時多発テロです。この首謀者ビン・ラディン容疑者がアフガニスタン国内に潜伏していたんですが、タリバン政権は引き渡しを拒否します。その結果、アメリカはタリバン政権を攻撃しまして、崩壊に追いやられたんです。
小川:
ここから20年ほどにわたってタリバン掃討作戦が続けられてくるわけですよね。にもかかわらず、あっという間に今回政権が掌握された、これはどうしてなんですか?
村瀬:
その背景には、アフガニスタンの地形が挙げられると思うんです。アフガニスタンは急峻な山岳地帯に覆われていまして、中央政権が統治をすることが非常に難しい地形になっているんです。
小川:
全土を把握することが難しい?
村瀬:
そうなんです。ですからタリバンは山奥に潜んで、そこからアメリカ軍やアフガニスタン軍に攻撃を続け、20年間にわたって戦い続けたということなんです。タリバン兵の兵力は約10万人と言われています。それに対してアフガニスタン国軍の兵力は30万人というふうに言われてるんです。
小川:
兵力の差は歴然としていますよね。
村瀬:
そうなんです。それにもかかわらずタリバン側が優勢になっていることの背景には2つあると思うんです。
1つはアフガニスタン政府にはびこる汚職なんです。例えば、タリバン側から金を受け取って武器を渡してしまうようなアフガニスタン政府職員がいるということが報道されています。
もう1つ問題なのが、兵士の士気の問題なんです。「アフガニスタン国軍」と言っても、実質的にはアメリカという外国勢力によって作り上げられた軍隊ですので、それに対して、タリバンというのは強い信仰心に裏付けられた武装勢力なんです。ですから命がけで戦うかどうかというような志気の面では、明らかな差があったということなんです。
小川:
モチベーションが全く違うわけですね。
今回またタリバン政権となったら、再び20年前のようにテロの温床となってしまいかねないということなんでしょうか?
村瀬:
まさにそのようになりかねない。その可能性はあると思うんです。1つはタリバン政権がどれほど過酷な統治を行うかというところにもかかっていると思うんですが、例えばアフガニスタン国内から大量の難民が発生するというような人道危機が発生したり、あるいはアフガニスタンが国際社会から孤立を続けたりする事態になりますと、これはまさにテロの温床になりやすい環境そのもの、ということも言えると思いますので、このようなことにならないように国際社会が関与を続けることが必要だと思います。
(16日23:26)
【解説】アフガニスタン政権 事実上崩壊、タリバン急進撃のワケ?
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