「シリーズ、コロナ後の世界」。日本ではコロナ禍で孤独担当大臣が任命されましたが、世界で初めて、このポストを作ったのはイギリスです。その孤独対策の現場を取材しました。
「慢性的な孤独は、健康面・精神面で1日にたばこを15本吸うのと同じ害があるとされています」(ダイアナ・バラン孤独担当相)
900万人が“慢性的な孤独”を感じているというイギリス。3年前、「孤独担当相」が任命され、国レベルで対策を進めてきました。コロナ禍でも孤独対策費として総額3500万ポンド、日本円で50億円あまりを各種支援団体に分配するなどしています。ただ、トップダウンだけではダメだといいます。
「何が必要で何が役に立つかは、地域の人たちの判断を信頼してきました」(ダイアナ・バラン孤独担当相)
イングランド北部。孤独問題に取り組む団体が1人暮らしの女性を訪問し、マスクやハンドジェルなどの入った袋を渡しながら、世間話をしていました。
「この人たちがいなかったら、すごく寂しかったでしょう。ずっと家で一人でいて、誰とも知り合わなかったと思いますよ」(リンダ・フェルトン=スコットさん 75歳)
こうした取り組みのニーズはコロナ禍で急増していて、色々なオンラインイベントを行ったり、タブレット端末も配ったりしています。
「いろんな活動がオンラインで行われているので、 ネット接続できない人は置いていかれてしまいます」(ジョー・コックス基金 クレア・バックさん)
政府が担当相を置いて孤独問題に取り組むことで、各団体に横の連携が生まれたといいます。この問題に取り組む団体「ジョー・コックス基金」の代表、レッドビーターさんは、人口や交通アクセスなどで異なる地域ごとのニーズに合わせることが大事だと指摘します。
「孤独問題は住宅の話からスポーツまでさまざまな課題・地域にまたがります。政府の関与は横断的な対策を可能にします」(ジョー・コックス基金 代表 キム・レッドビーターさん)
この団体、孤独問題への国レベルでの対処をいち早く呼びかけた労働党の「ジョー・コックス」議員の名前がつけられています。コックス議員はレッドビーターさんの姉です。
「私たちは、とても仲の良い姉妹でした。ジョーは姉であり親友で、何をするのも一緒でした」(ジョー・コックス基金 代表 キム・レッドビーターさん)
コックス議員は5年前、EU離脱を問う国民投票の直前、極右思想を持つ男に頭と胸を銃撃されたうえ、15回も刺され死亡しました。当時41歳で、子どもはまだ5歳と3歳でした。その後、コックス議員の遺志を継ぐ形で、保守党政権のもと孤独担当相が任命され、政府がまとめた対応戦略の表紙にはコックス議員の写真が・・・。
「日本にも孤独担当相ができたなんて、すばらしいです。いいぞ日本!」(ジョー・コックス基金 代表 キム・レッドビーターさん)
コックス議員が先鞭をつけた孤独対策。パンデミックを機に、ほかの国にも広がっていくかもしれません。(23日10:28)
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日本も導入「孤独担当相」元祖・英国の孤独対策に生きる“遺志”【SDGs×コロナ後の世界】
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