東京都心から南に約300キロ。太平洋に浮かぶ八丈島(東京都八丈町)は梅雨が明けると、海の青と山の緑が鮮やかさを増す。
手つかずのままの雄大な自然が魅力の島はその昔、関ケ原の戦で敗れた宇喜多秀家をはじめ多くの要人が流された流人の島だった。流人たちが戻れぬ本土に思いをはせて名付けたのだろうか、島の北西に八丈富士(西山)がある。
「本家の富士にそっくり。美人な山ですよ」。八丈島歴史民俗資料館の山入端(やまのは)幸子さん(65)が誇らしげに話してくれた。町の中心部から望め、島民は山にかかる雲の具合を見て天気を予想するという。
信仰の山でもある。浜で玉石を拾い、火口内の浅間神社に納める習わしが今に伝わる。島で農業をする男性(60)は子供の頃、父が病弱な兄を背負い、日の出前に山頂を目指した姿を見た。その後、兄は以前より健康になったそうだ。島の漁師も正月には大漁と航海の安全を祈って山に登るという。
一方、八丈島も新型コロナウイルスの影響を受けている。町によると、7月の観光客数は前年比で6割ほど減った。
おじゃりやれ-。島の方言で「いらっしゃい」というあいさつがある。コロナ禍が収束し、来島者に気持ちよくこの言葉をかけられる日が待ち遠しい。(写真報道局 鴨川一也)
【ふるさと富士】「おじゃりやれ」待ちわびる八丈富士 西山
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