コケに覆われた深い緑の森は、しっとりと静かな時間が流れる。遊歩道を進むと、神秘的な光景に森の精が出てきそうな雰囲気すら漂う。
標高2000mを超える山が連なる長野県の北八ケ岳。その中にある「白駒の池」周囲はコメツガやトウヒなど鬱蒼とした原生林が広がり、「苔の森」と呼ばれている。
その規模と景観の美しさから、日本蘚苔類学会が平成20年に「日本の貴重なコケの森」に選定している。国内に生息する種の4分の1を超える519種のコケ植物が確認されており、学術的にも貴重な森だ。
多くのコケが生育できるのは多様な環境があるからだ。八ケ岳の火山活動に伴う起伏に富んだ地形や霧が発生しやすい気象条件も大群落を形成するのに適していると考えられている。
池のほとりで山小屋「青苔荘」を営む山浦清さん(66)もコケに魅せられた一人だ。周辺の山小屋と「北八ケ岳苔の会」を立ち上げ観察会を開催するなど、森を守りながらコケの魅力を広めている。「コケは太古に陸上に進出してきた。単純で小さな体の中にロマンがある」と夢中だ。
朝から降りだした雨が止み、足元に目をこらすと、水滴が輝く小さなコケの世界が広がっていた。森は夏にかけて、緑が最も映える季節を迎える。(写真報道局 鴨川一也)
苔むす原生林 長野・北八ケ岳
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