そびえ立つ杉が鬱蒼とした道をつくる。まるで巨木がつくる隧道のように。その道は栃木県日光市の日光東照宮につながる。江戸時代の寛永2(1625)年、1本の杉が初めて植えられてから、もう400年がたった。
日光東照宮には徳川家康がまつられている。徳川家に仕えていた大名、松平正綱らが二十数年の歳月をかけて植樹した。江戸時代には歴代の将軍が東照宮へ参拝する「日光社参」を支えた。
京都から東照宮へ勅使が供物を運んだ例幣使街道、会津と日光を結ぶ会津西街道と合わせて、杉並木の総延長は約37㌔。ギネス世界記録にも「世界一長い並木道」として認定された。
植樹完了後には5万本あったとされている杉だが、老齢化や自然災害によって減少が続いている。今年3月末時点では1万2千本ほどになってしまった。
景観を守ろうと栃木県は対策に取り組む。いまの杉は東照宮の所有物だが、今後は県が後継の苗を補植して、数を維持していく。倒木などが周辺に被害を与えないような管理も行う。
時代が移り変わっても、この道は愛され続ける。地元の人は散歩し、休日にはランニングやサイクリングの観光客が行き交う。
5月上旬、杉並木では例幣使の道をたどるイベントが開催されていた。福島県から参加した海老沢秀章さん(47)は「車社会の今でも残っていることが素晴らしい。江戸時代の旅人たちも歩いていたのかな」と思いをはせていた。
大きく育った杉は枝葉が頭上を覆い、やさしいトンネルのように、直射日光や強風などから通行人をかばってきた。江戸時代から現代まで、その先へ。杉並木は歴史を見届け、旅人を守り続けていく。(写真報道局 鴨川一也)
【探訪】ギネス世界記録にも「世界一長い並木道」
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