観光客でにぎわう参道を歩き、境内の赤い楼門をくぐる。目に映ったのは木々が茂った小島が空に浮かんでいるような太宰府天満宮の仮殿だ。
学問の神様・菅原道真公がまつられ、国の重要文化財に指定されている本殿の大規模改修工事は令和5年に始まった。檜皮葺(ひわだぶき)の屋根の葺き直しなど、3年ほどかかる。このため、仮殿は道真公の仮の住まいとなっている。幅は約22メートル、屋根までの高さが約8メートルで、黒を基調とした現代的な斎場も参拝客の目を引く。
令和9年は道真公が亡くなってから1125年を迎え、25年に1度の式年大祭が行われる。また、道真公は生誕したのも命日も25日。「25」という数字は重要な意味を持ち、特別な節目に合わせた大改修だ。
「道真公や参拝者にも喜んでもらえる令和の時代にふさわしい仮殿をつくりたいという宮司の思いが強かった」と神社側は説明する。
設計は2025年大阪・関西万博の象徴「大屋根リング」を手がけた建築家の藤本壮介氏に依頼した。道真公を慕う梅の木が一夜にして太宰府まで飛んできた「飛梅(とびうめ)伝説」から着想を得て、神社そばにある天神の杜など、緑豊かな自然に調和するデザインに仕上げた。
屋根に生える木々は60種類以上。藤本氏は設計期間中、何度も現地に足を運び、四季折々の景色が見られるよう植栽を選んだ。今では鳥が種を運んできた植物も育ち、完成した当時以上の種類になった。
今年5月中旬には、御神霊(おみたま)を本殿へ戻す正遷座祭が行われ、仮殿の解体が始まる。仮殿の装飾類は本殿に移され、屋根の木々は天神の杜や境内に植え替えられる。 次の千年に向けて作られた令和の神社。見られるのは、あと4カ月ほどだ。 (写真報道局 酒井真大)
【探訪】仮殿の天上彩る鎮守の森「太宰府天満宮」令和の大改修
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