どこまでも真っ白な断崖が続く。すぐ横では放牧されたヒツジがのんびりと草をはんでいた。
青い海峡の向こうにフランスを望む英国南東部。白い岩壁は「セブンシスターズ」と呼ばれる。由来は7つある丘が7人の姉妹が立っているように見えるからだと伝わる。
1億年から6500万年前に海の生物の死骸が堆積。プレートの衝突や隆起、その後の波による浸食などで崖が形成された。その白さは死骸の成分、炭酸カルシウムによる。
ありのままの風景を楽しむことができる「フットパス」があり、崖の上も歩ける。ロンドンから車で2時間ほどとあって、人気の観光地だ。
崖の西側に位置する町、シーフォードから歩いてみた。道中、近くに住むロビン・リーバーさん(50)に出会った。「嫌なことがあったら、海と白い崖を見て頭をすっきりさせに来るんだ」とリーバーさん。崖の際には柵がなく足がすくむ半面、見通しがよく気持ちいい。
「ハリーポッター」シリーズなど数多くの映画のロケ地にもなっているセブンシスターズ。人気作品の公開後には多くの人が訪れる「聖地」のようになっている。
「地元の人には見慣れた景色だけど」と言いながら、リーバーさんはどこか誇らしげだ。シートを広げてピクニックを楽しむ人もいて、憩いの場にもなっている。
だがこの白い壁も年々浸食されている。ビジターセンターによると、もともともろい地質が風雨にさらされることで、崖は年に数十㌢ずつ削られている。いつ崩れ落ちるかわからないため、観光客にも崖に近づかないように呼びかけているという。
悠久のときを経て、はかない命の積み重なりがつくった眺望。いつか、見られなくなる日が来るかもしれない。いま、この瞬間の絶景を目に焼き付けた。
【探訪】7姉妹 一期一会 白亜の絶景 英国南東部
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