東京都渋谷区の閑静な住宅街に東京消防庁装備工場がある。同庁が保有する消防車や救急車など約2千台の車検や修理などを一手に引き受けている。消防が車検まで手がけるのは、国内で東京消防庁だけだ。
「住民の方がこちらに向かってお辞儀して『ありがとう』と声をかけてくれたんです。この仕事をやっていてよかったな、と思いました」
今年3月、岩手県大船渡市の大規模山林火災の現場に派遣された東京消防庁の酒井健一整備主任(49)はこう振り返る。
工場には計106人の職員が勤務しており、整備士は月に1、2回の当直勤務をこなす。車両が災害現場で故障すれば、昼夜を問わずに急行する。
大規模な災害が発生し、緊急消防援助隊が編成されると、後方支援隊として整備士が被災地に赴くことがある。酒井主任は昨年1月の能登半島地震でも出動した。現場では消防車両の修理だけでなく、隊員の使うチェーンソーの整備も行った。装備工場ではチェーンソーのほか、投光器や発電機、消防士が火災現場で使う空気ボンベのメンテナンスも担っている。
かつて、カーディーラーで自動車整備士として勤務していた酒井主任。「人の役に立つ仕事がしたい」と転職を決意し、「私たちの整備が災害現場の活動を支えている」と胸を張る。
「確実な機器を災害現場へ」
装備工場の壁に貼られた標語。首都の、そして、わが国の防災を支える整備士たちの思いが込められている。(桐原正道)
防災支える整備の拠点、東京消防庁装備工場 消防車や救急車などの車検や修理を一手に引き受け、確実な機器を災害現場へ
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