「社会問題にまで発展し、深くおわび申し上げる」。紅麹(べにこうじ)成分が入った小林製薬の機能性表示食品サプリメントを巡る健康被害問題で、29日に会見した小林章浩社長は沈痛な面持ちで謝罪の言葉を繰り返した。問題を初めて公表した22日から1週間が経過し、関連が疑われる症例は死者5人、入院患者114人に。通院希望者も含めると約800人に膨れ上がった。影響は拡大の一途で問題長期化は必至だ。
この日午後2時から大阪市内で開かれた小林製薬の記者会見。小林社長ら幹部は一様に険しい表情を浮かべ、冒頭10秒ほど深く頭を下げた。質疑応答では「すべての質問に回答する」とし、会見は約4時間半に及んだ。質問が集中したのは、サプリ原料から検出された健康被害の原因物質と疑われる「未知の成分」と、最初の症例把握から問題公表までに約2カ月を要した点だった。
「未知の成分」については「特定できていない」としていたものの、厚生労働省が「プベルル酸」と発表すると、会見途中でこれを追認。ただ小林社長ら出席者全員が「公表するとは聞いていない」と戸惑いを見せ、国側との連携不足をうかがわせた。
同社の紅麹を扱う直接の取引先は52社、原料を使用している会社を含めると影響は173社に達する。それぞれ商品回収が必要になるとみられるが「すべて(の関係企業)と話ができているか分からない。おそらくできていない企業もある」(小林社長)と明かした。
海外でも関連が疑われる症例が報告され、外国メディアから小林製薬の現地対応を疑問視する声も。小林社長は「中国や台湾でも、紅麹原料によって大変なご迷惑をおかけし、申し訳ない」としつつ、「原料の卸を通じて(海外で)どういった商品になって販売されているか、全容がつかめていない」と述べるにとどまった。
電話での相談窓口は28日時点で110回線を準備したが、応答率は約3割。問題の急速な広がりに社内の態勢も追いついていない。
同社の紅麹製造は平成28年に、グンゼから事業譲渡を受けて引き継いだもの。それまで麹を用いた食品製造は一切行っていなかった。そもそも紅麹はカビ毒のシトリニンを生成することが知られ、欧州でも健康被害が報告されるなど、厳格な取り扱いが要求される。
「麹については素人に近かったのではないか」
「素人が乗り込んで製造する危険性に考えが及ばなかったのか」
会見では小林製薬の製造管理を巡って厳しい質問が飛んだ。小林社長は「(グンゼの)技術者にも一緒に入社してもらい、その点は大丈夫であると認識していた」と応じ、別の担当者も「(批判は)甘んじて受けたい」としつつも「われわれのレベルが高くないということではなく、自信を持ってきた」と強調した。
ただ小林社長は「力が足りないと言われればおっしゃる通り」とうつむき、涙をこらえるようなしぐさも。今後について「原因究明と再発防止が私たちの責任」と話した。
小林製薬が会見=3月29日 大阪市北区
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