朝日が昇って間もなく、湿原の奥から国鉄時代の車両が雪煙を上げながら走ってきた。日本最東端の鉄道、JR花咲線の始発列車だ。
花咲線は、根室線のうち北海道東部の135キロ(釧路~根室間)の愛称で、この区間を約2時間半で結んでいる。
車窓のハイライトは、厚岸町に広がる別寒辺牛湿原だ。氷結した川にワカサギ釣りのカラフルなテントが並び、線路脇をエゾシカが疾走する。キタキツネや絶滅危惧種に指定されているオオワシを目撃することもできた。車窓を眺め続けていても飽きない路線だ。
一方、JR北海道は平成28年に「当社単独では維持することが困難な線区」として花咲線などの名前を挙げた。昨年度は1億5800万円の売り上げに対し、12億9000万円の経費がかかっている。全国のローカル線が抱えている課題が、この路線にも重くのしかかる。
花咲線の車内で、通院のために乗車していた根室市の男性(81)と出会った。石本さんは「人口もどんどん減っているし、廃線になってもやむを得ない。いつ見ても俺たちしか乗っていないから」と打ち明ける。
以前なら日帰りで釧路の病院に通っていたが、列車本数の減った現在は釧路で1泊せざるを得ないという。
このような状況に、JRや沿線自治体は、花咲線を「地球探索鉄道」と銘打って、観光客を呼び込んでいる。乗客がスマートフォンを利用して、車窓や沿線の音声ガイドを受けられる仕組みなども作っている。
毎週乗車しているという根室市の女性(73)は、利用促進策もあってか観光客の利用は着実に増えていると感じている。渡辺さんは「沿線風景や自然は大事。生活のためだけではなく、若者が列車で一人旅に来て、記憶に残れば後の人生にプラスになる」と力説する。
JRは、単独では維持困難としている花咲線などの8区間について、地元自治体などによる支援を条件に存続を目指している。3年後をめどに経営の改善策をまとめる予定だ。
(写真報道局 桐原正道)
【探訪】JR花咲線 地球探索鉄道の旅
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