新潟・佐渡島で国の天然記念物のトキが放鳥されてから9月で15年を迎えた。環境省によると、これまでに490羽が放たれて、昨年12月末時点で545羽が野生下に生息していると推測されている。
今年も島内外で飼育された、28羽が放鳥された。トキの生息域を、密度が高い島内陸の平野部から島全域へと広げる取り組みが続く。
トキの生態に詳しい新潟大の永田尚志教授は「島全体で減農薬農業に取り組んでくれたことでトキの餌場が確保され、生息数の増加につながった」と評価する。
一方で「一部の地域で生息密度が高くなった。これからは島内でも密度が低い地域、または本州などに放していくことが必要」と課題を指摘する。
昨年、環境省は、本州にトキを定着させるための放鳥候補地として石川県の能登地域と島根県出雲市を選んだ。能登は本州最後の生息地、島根も隠岐諸島に戦前まで生息していたゆかりの地だ。
準備を進める石川県は佐渡市を参考に、モデル地区で今年からトキの餌になる生物の住みか「江」を整備し、化学肥料や農薬の使用量を5割に削減して水稲を栽培している。トキは田畑を踏み荒らす側面もあるため、協議会を立ち上げて農家への理解を促している。
石川県トキ共生推進室の山田寛司室長は「自然豊かな環境をつくることは県にとってもプラス。トキが飛んでいた光景を覚えている人もおり、また戻ってきてほしい」と力を込める。本州での放鳥は早ければ令和8年度にも行われる。
絶滅生物を野生に復帰させるという壮大なプロジェクト。本州でトキが姿を消したのは昭和45年。長い時を経て、再び本州の大空を美しいとき色の翼が舞う日が楽しみだ。
(写真報道局 鴨川一也)
本州ゆかりの地で野生復帰へ トキ放鳥15年
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