青空が、岩壁に囲まれて額縁に入ったように見える。たけだけしい自然に人間の営みが加わり、威容を造り出していた。
山形県高畠町の採石場跡地を一般開放した「瓜割石庭公園」を訪れた。
大正12年から平成22年の閉場まで、最盛期には約30人の石工が働いていたという。採掘の跡をとどめる天をつくばかりの岩肌は高さが30mほどあるだろうか。ほぼ全て石工らが「ホッキリ」と呼ばれる手づくりのツルハシなどで切り出したというから驚かされる。
「石工たちの間では、1日1本約300キロ、幅1尺2寸(約36センチ)、高さ8寸(約24センチ)、長さ6尺(約182センチ)の『一二八(いちにいはち)』を掘って一人前と認められていたようです」と町社会教育課の小林貴宏さん(51)は説明する。
採れる石は、火山活動でできた凝灰岩で「高畠石」と呼ばれている。熱に強く、丈夫だが加工しやすい。一帯では、縄文時代の遺構に見られるのに始まり、古墳の石室、時代が下ると鳥居や墓石、家屋の一部に使われてきた。
「良質な石がある土地に集落をつくったことが町の成り立ちの理由の一つとも考えられています。歴史的にも、『高畠の住民は、ゆりかごから墓場まで石とともにある』と言ってよいかもしれません」と小林さん。
かつては町内に十数カ所あった高畠石の採石場も瓜割石切場の閉場を最後に、職人の後継者不足やセメントの普及などでもう採掘されていない。しかし、今も町を歩けば、民家の塀や敷石で高畠石を目にする。折々で再利用され、使われ続けている。
果実畑や稲田が広がり「有機農業のふるさと」として知られる高畠町。住民らが古語で「素晴らしい所」を意味する「まほろばの里」と誇るこの地に、古から続く石の文化が彩りを添えている。
(写真報道局 松本健吾)
【探訪】石とともに生きる里 瓜割石庭公園(山形・高畠町)
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