朱色に燃える太陽が高層ビルの谷間に沈んでゆくと、集まった観衆から地響きのような歓声が上がった。肌の色や話す言語はさまざまだったが、長編のミュージカルを全員で見終えたような一体感がそこにはあった。
碁盤の目状に区画整理された米ニューヨークのマンハッタンでは、年に2回だけ、高層ビルの谷間を走る通りの先に日が沈む「マンハッタンヘンジ」が観測される。
夏至の日に巨石の間から太陽が昇ることで知られている英国の世界遺産「ストーンヘンジ(巨石遺跡群)」にちなんで、米国の天体物理学者、ニール・ドグラース・タイソン氏が名付けたという。
5月29~30日、コロナ禍も終息ムードのなか迎えた今年1回目のマンハッタンヘンジ。日没となる午後8時過ぎ、撮影スポットとして有名な42丁目の陸橋付近には、スマートフォンを片手に数百人が詰めかけた。
午後2時ごろからスタンバイしていたというニューヨーク在住のカメラマン、佐々木悠人さん(29)は、「実際に見るまでは半信半疑だったが、ちょうどビルの間に太陽が沈むさまは、異様でありながら幻想的だった」と興奮した様子で話した。
近くで一緒に日没を待っていた米国人にピザを分けてもらったといい、「人種は違えど同じ目的のために長時間待つ者同士で絆も生まれた」と笑顔をみせた。
昨今のSNSブームも手伝って、マンハッタンヘンジはニューヨークを象徴する一大イベントになりつつある。
ニューヨーク市観光会議局によると、コロナ禍によって2020年に年間約2230万人まで落ち込んでいた同市への観光客数は、今年はコロナ禍前と同水準の約6330万人に回復すると見込まれている。
次のマンハッタンヘンジは7月12~13日、晴天に恵まれれば見られる予定だ。運試しも兼ねて、コロナ禍が明けたニューヨークへの旅行はいかがだろうか。 (写真報道局 桐原正道)
マンハッタンヘンジ ニューヨーク
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