東京から飛行機を乗り継ぎ2000㌔。日本最西端の離島、沖縄・与那国島に降り立った。気象条件がそろえば海の向こうに110㌔先の台湾が見えることもある〝国境の島〟だ。
周囲約28㌔の小さな島が、北朝鮮の相次ぐミサイル発射や高まる台湾有事への懸念から緊張に包まれている。G7広島サミットでの北朝鮮と中国への対応も注視されている。
「怖いですよ。中国軍の軍事演習やウクライナのニュースを見ていると、次はこの島かもと考えてしまう」と住民女性は話す。
もともとは、自然豊かでのどかな島だ。車を走らせれば、わが物顔で歩く放牧された馬や牛、海岸沿いをレンタサイクルで駆ける観光客らに出合う。
しかし今、そんな牧歌的な風景のなかで自衛隊が存在感を高めている。
高台には巨大なレーダーがそびえ、観光スポット「日本最西端の碑」のすぐ近くで、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)がにらみを利かせている。
中国の台頭を念頭にした「南西シフト」の一環で、防衛上の「空白地帯」だった島に陸上自衛隊与那国駐屯地が開設されたのは平成28年3月。人口の1割に当たる170人が駐屯している。それから7年。過疎対策や地域経済の活性化に寄与し、町のイベントにも参加する自衛隊は島に溶け込んだように見える。数年前まで役場近くにあった「自衛隊基地反対」の看板も取り外されていた。
だが、島民らの心情は複雑だ。「のんびりとした島の印象はガラリと変わってしまった。都会から訪れた人が星空を見上げようとしたらレーダーが目に入る状況をどう思うだろうか」
島南西部で飲食店などを経営する男性は、急激な環境の変化に戸惑いを隠さない。
「しかし、国境の島を守るのは国の義務だ。危機が迫っているとしたら、背に腹は代えられないのかな」
男性が見つめる海のすぐ向こうには中国による軍事圧力にさらされている台湾がある。確かに、ここは国防の最前線なのだ。(写真報道局 松本健吾)
国防最前線・・・ 変わりゆく与那国
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