かつては業者による偽ブランド品の取引が主流だった「コピー品」が、インターネット通販やフリマアプリの普及で個人輸入の機会が増え、トラブルなどに巻き込まれる恐れが高まっている。取引額は世界全体の貿易額の3%超を占めるとの統計があり、市場経済に与える影響も少なくない。近年急増する偽医薬品には、健康被害のリスクも潜む。不正輸入を阻止する水際対策の現場をのぞき、その異常な実態に迫った。
■ビリビリに粉砕
東京湾沿いにある東京都江東区の産業廃棄物処理場に年数回、東京税関で差し止められたコピー品の一部が持ち込まれる。3月初旬にも大量の段ボールに詰め込まれた「商品」が持ち込まれた。
かばん、洋服、靴とその種類はさまざま。一見すると高級ブランドや人気スポーツブランドと見まがうロゴもあり、素人には「本物」と見分けがつかないものが散見される。もちろん全て偽物で、東京税関の取り締まりで差し止められた知的財産侵害品の数々だ。
持ち込まれた段ボールなどはクレーンにつまみ上げられ、破砕機に投入。ビリビリに破られ、燃料などに変えられる。
東京税関によると、令和4年中にコピー品として差し止められたのは約35万8千点(前年比86.8%増)に上り、統計を取り始めた平成20年以降、3番目の多さとなった。輸出国は中国が約24万2千点で全体の3分の2を占めるが、近年急増するベトナムも約5万3千点に上った。
■医薬品が急増
コピー品といえば、かつては偽ブランド品が主流で、業者が大量に輸入・販売するケースが大半だったが、ネットを中心に個人取引の普及が進んでいる。
経済協力開発機構(OECD)によると、2016年の偽造品取引は5090億ドルに達し、世界全体の貿易額の3.3%を占めたという。
一般消費者が直接海外業者などにアクセスできるようになり、ブランド品以外にも、偽の医薬品やワイヤレスイヤホン、充電器、浄水器のカートリッジなど多岐にわたるようになっている。荷物の小口化が進んで検査の手間が増え、摘発が難しくなっている実情もあるとみられる。
日本国内で特に急増しているのが医薬品だ。東京税関によると、4年は7万4100点が差し止められ、前年の400点から約185倍になった。勃起不全(ED)治療薬が多数を占め、錠剤1粒ずつに製薬会社のロゴが入る〝精巧〟なものも確認されている。
■個人輸入を規制
個人輸入の横行に拍車をかけていた背景には、個人使用のためのコピー品の輸入が違法ではなかったこともあるとされる。このため、4年10月に施行された商標法などの改正法では、個人によるコピー品の輸入も差し止め対象になり、取り締まりが強化された。
効果はすぐに表れ、財務省関税局によると、4年10~12月に差し止められたコピー品は8102 「個人輸入もダメ! コピー品に潜む危険なわな」件で、前年同期(6746件)に比べて約20%増加した。
一方で、世界的に新型コロナウイルス禍から抜け出す中で、輸出入が再び活発化し、コピー品の売買も増加傾向に向かうことが懸念されている。
コピー品は海外サイトなどで極端に安く販売されているほか、《レプリカ》《N級品》などの表示がある場合も多い。財務省知的財産調査室の担当者は強い口調で警鐘を鳴らす。
「コピー品の輸入は、犯罪組織の資金源となってしまうほか、使用することで健康や安全を脅かす危険がある」(橘川玲奈)
「個人輸入もダメ! コピー品に潜む危険なわな」
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