「見てみて」「キレイ」「大きい!」。元気な声が館内にあふれる。生き物の剝製や貝を指さす保育園児たち。はしゃぎながらも学芸員の説明に真剣な表情で耳を傾けていた。
12年前の東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市の市立博物館。昨年11月、同様に津波で全壊した市内の「海と貝のミュージアム」と合併する形でリニューアルオープンした。自然や郷土の成り立ちを伝える約7300点の資料が展示されている。
旧市立博物館は昭和34年、東北で初めての公立博物館として開館した。「郷土を伝える貴重な資料がそろった博物館は高田の人々にとって誇りだった」と学芸員の熊谷賢さん(56)は語る。
多くの学芸員が津波で犠牲になる中、ただ一人無事だった熊谷さんは、4月1日から被災した資料の修復と再建に奔走した。海水に漬かった資料の復旧は前例がなく手探り。しかし、日本中の博物館や大学からの支援を頼りにコツコツと一点一点〝救済〟していった。
同県大船渡市から家族で訪れた小松千明さん(31)は「小学生の時に訪れた旧博物館で、整然と並ぶ剥製が印象に残っていた。今、こうして子供にも同じものが見せられてうれしい」と話した。
博物館には新たに、被災した文化財の修復や再建への過程を紹介するコーナーが設けられた。汚れたままの標本や工芸品が津波の脅威と防災への教訓を来館者へ生々しく語りかけている。
震災を乗り越えた地域の知の拠点は再び未来へと陸前高田の歴史を紡いでいく。
郷土の誇り よみがえる知の拠点 【陸前高田市立博物館】
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