徳島県佐那河内村。山合の里で、四季を通じて穏やかな風が吹くことと、嵯峨川などの3つの清流が特徴だ。主産業は農業。かつてはミカンやスダチが有名だったが、今は村が作り上げたブランドイチゴ「さくらももいちご」で知られる。
夕暮れ時、高台から眺めると、イチゴ栽培のビニールハウスに、ぽつりぽつりと光がともった。生育を促進するための電照で、収穫時期の冬場に行われる。
イチゴ作りが盛んになったのは昭和60年ごろという。特産のミカンが同56年2月の冷害でいっせいに枯れたのをきっかけにイチゴ栽培に転換。平成4年にはブランドイチゴ「ももいちご」に村をあげて取り組み、甘く大玉な高級イチゴで全国に名前を売った。
同18年からは、サクラの時期まで出荷可能な新ブランド「さくらももいちご」の生産を開始。昨年11月29日の初競りでは1パック16個入り16万円の高値がつくブランドに成長。希少性から「幻のイチゴ」と呼ばれるほどになった。
収穫は夜明けと決まっている。一番冷える時間が最も実が締まるからだ。いちご農家の栗坂政史さんは「『やっぱり食べてよかった』と思ってもらえるようなイチゴを作り続けたい」と話した。
村の宝ともいえるブランドイチゴだが、後継者難を抱えている。生産農家は平成12年の36戸から、今年は20戸まで減少。ブランド継続には出荷量安定が不可欠のため、あの手この手で若手を呼び込んでいる。今年4月に新規就農者研修として「佐那のいちご塾」を開講。1期生を2人受け入れることになっている。
「さち香る 風の谷」。村は自らの土地を、そうPRしている。幸いに満ちた穏やかで、豊かな里をめざし、今も取り組みは続いている。
「にほんの村」幻のイチゴを育てる光 徳島県佐那河内村
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