夜明けが近い。まだ寝静まっている街を見下ろす小高い山の階段を上る。トレーニング中の地元住民とすれ違いながら頂上に着くと、あけぼのの空に黒く巨大な城のシルエットが浮かび上がっていた。
今年、日本初の世界遺産登録から30年を迎える姫路城(兵庫県姫路市)。優雅にたたずむ姿は空を舞うシラサギに例えられ「白鷺城」とも呼ばれる。
元弘3(1333)年に播磨国の守護だった赤松則村が姫山に築いたとりでが基だという。天下統一の前、豊臣秀吉も城主となり改築した。現在の天守を完成させたのは徳川家康の娘婿、池田輝政だ。
平成5年12月、法隆寺や屋久島、白神山地とともに、日本で初めて世界遺産に登録された。地域住民がたこ揚げや散歩を楽しむ憩いの場は、一躍世界から注目される観光地となった。
登録前の平成4年度は入城者数が88万人だったが、令和元年度には154万人に。その4分の1を外国人が占めた。
「いつも城が美しいのは、天守ややぐら、門などを絶えず補修しているからです」と城管理事務所の常峰匡之さん(49)。今も本丸東側の備前門を修復中だ。「常に作業していることで技術も伝承されていくんです」
多くの観光客であふれていた城内も新型コロナウイルス禍で寂しい3年を過ごした。しかし昨年10月には外国人の入国規制が緩和されるなど、明るい兆しも見える。
城内の土産物店で働く佐野平さん(75)は「コロナ禍で閑散としていた3年間も、地元のボランティアで絶えず清掃していました」と話す。
身近な城が世界に誇れる文化遺産だという意識が広まった30年。地域の愛と匠の技が注がれた名城は、再び世界中から人々が集まる日を待っている。
暁に映える白鷺 姫路城、世界遺産登録30年
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