沖縄本島から東に約360km。断崖が切り立つ南大東島が絶海に浮かぶ。
約1300人が暮らすサンゴ礁でできた島で、地上を覆うサトウキビ畑の足元には無数の鍾乳洞が広がっている。
「ほんと、みんな久しぶりだね」。元日、笑顔の若者たちがぞろぞろと洞窟から出てきた。手に持っているのは中学卒業時に鍾乳洞に入れた泡盛の瓶だ。島には高校がない。15歳の春に多くの子が親元を離れる。その時に洞窟に置き、熟成させた泡盛を二十歳の正月に取り出し、成人を祝う。島の行事の一つだ。
今年も13人の若者たちが5年ぶりに泡盛を取り出した。11人が島外で暮らすが、それぞれの故郷への愛着は強い。本島の保育園で働く桃原聖良さん(19)は「みんなが知り合いで、戻ったときにおかえりと迎えてくれる島の人たちが好き」と照れくさそうに語った。
二十歳を祝う村の式典後、若者たちは家族と泡盛を開けた。食卓を囲み、笑顔がはじける。三線の音に合わせ、伝統の踊り「カチャーシー」を踊り始める。沖縄の離島らしい夜が更けていく。
家族と別れて暮らすのが当たり前の離島。だからこそ人と人との距離が近く、親密だ。
一夜明けて若者たちは再び島から旅立っていった。大勢の島民に見送られて。(写真報道局 鴨川一也)
おかえり 泡盛で祝う二十歳
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