山の斜面に広がった段々畑に旬を迎えたミカンが色づいている。古代遺跡を思わせる白い石垣と青い海、小さな集落が織りなす絶景に目を奪われた。
四国の西側、宇和海に面するリアス式海岸の入り江にある愛媛県西予市の狩浜地区。三方を山に囲まれた集落に626人が暮らしている。
石垣が組まれ始めたのは江戸時代末期。明治に養蚕が盛んになると、桑畑をつくるために一気に拡大した。戦後、果物畑へと転換し昭和30年ごろには大部分をミカンが占めるようになったという。最も高いところで標高270メートル、100段を超え、総面積は約100ヘクタールに及ぶ。
独特な地形がミカンを甘くみずみずしく育てる。
「狩浜には3つの太陽があると言われているんです」と、地域づくり組織「かりとりもさくの会」の二宮祥子さん。3つの太陽とは、降り注ぐ日光、海面からの反射、そして石垣からの照り返しだ。
訪れたのは11月中旬だったが、太陽が高い日中はなかなかの暑さだった。この日照りが果物の恵みになるのだろう。
しかし、数百年かけて築かれた石垣も、近年は土砂災害やイノシシの被害で崩れた箇所が目立ってきた。地区では、修復方法を学ぶワークショップを開催しているほか、次世代の修繕士を育成中だ。狩浜のコンクリートを使わない石積みは、環境負担が少ない工法として世界的にも再評価されている。
二宮さんは「他にはない地元の景色を皆で守っていきたい」と力を込める。
先人たちが築いた知恵と景観は次の世代へと引き継がれていく。
(写真報道局 萩原悠久人)
「3つの太陽」が育てるおいしいミカン
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