北朝鮮が拉致を認めて謝罪した日朝首脳会談から17日で20年となるのを前に、拉致被害者家族らが16日、東京都内で特別集会を開いた。会談を経て被害者5人の帰国が実現したが、以降、特段の動きがないまますでに多くの家族が他界している現状を念頭に、「今こそ日本政府の本気度が求められている」と主張。政府の主体的な取り組みの必要性を重ねて訴えた。
「どこまで頑張ればいいのだろうと」。集会の冒頭、横田めぐみさん(57)=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(86)は率直な思いを語った。日朝首脳会談から1カ月後の10月15日に被害者5人が帰国。飛行機のタラップから降りてくる様子を、令和2年に87歳で亡くなった夫の滋さんが懸命に写真に収めていた様子が、記憶に強く残っている。
「この大事な記念の瞬間を撮り逃すまいと、涙を流しながら、かけずりまわっていた。私はそれを、つらい思いで見ていた」。
北朝鮮は、帰国被害者5人以外に、めぐみさんら8人は「死亡」、ほか4人は「未入境」との立場を今も崩していない。
早紀江さんは現状に関し、「いろいろと水面下の動きはあるのだろうが、本当に進んでいるのかどうか。また何十年と、時間が過ぎていくのではないか」と危機感をあらわに。「どうしたらいいのだろうと心を痛め、悲しい思いでいる」と結んだ。
疲労がたまっているとして、発言を終えるとそのまま会場を後にした。
めぐみさんの双子の弟で、家族会代表の拓也さん(54)は、「20年前の首脳会談後、家族会は記者会見をした。世代が変わり、今日の集会での顔ぶれはだいぶ違っている」と月日の経過を指摘。「拉致問題は横田家や被害者家族だけの、かわいそうな問題でない。国民の皆さまには、わがことと捉えてほしい」と理解を求めた。
この日、参加したのは、拓也さんのほか、双子の哲也さん(54)、田口八重子さん(67)=同(22)=の長男の飯塚耕一郎さん(45)、松木薫さん(69)=同(26)=の弟、信宏さん(49)ら、若い世代が中心。一方、高齢世代に当たる八重子さんの兄、本間勝さん(78)も同席し、「自分たちがいなくなったら、八重子が帰ってきても、寂しい思いをするだろう。死ぬわけにはいかない。存命中に会いたい」と切実な思いを明かした。
「帰ってくるかこないか、0か100。帰ってきていないのだから0点だ」。耕一郎さんは「9・17」以降の日本政府の取り組みを厳しく評価。「外交交渉のプロセスは家族会がどうこうする話ではない」とし、局面打開へ政府の一層の奮起が必要と訴えた。
被害者家族として最後に発言した信宏さんは、「20年たったからといって、区切りではない。だが、20年で、家族も被害者も年を取ったことは事実」と述べた。そのうえで、岸田文雄首相に対し「何もしないことは失敗になる」と行動を求めた。
拉致被害者家族が特別集会「政府の本気度求められる」
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