阪神大震災をきっかけに生まれ、四半世紀を経た今も歌い継がれる曲がある。神戸市立高羽小学校の音楽教諭、臼井真さん(60)が作詞作曲した「しあわせ運べるように」。音楽をしていて何になる。被災直後の喪失感の中で、自らを鼓舞するように10分間で書き上げた曲は、海を渡り、外国の被災地でも合唱されるまでになった。来年3月に定年を迎える臼井さんの教師生活は、一度は疑った音楽の力を自ら証明する再生の歩みでもあった。
17日午後、高羽小のグラウンド。「もっと全集中でやるように」。白井さんは児童の合唱に耳を澄ませながら、そう発破をかけた。新型コロナウイルス感染予防のため屋外で行われた練習会。ちょうど1カ月後の来年1月17日に向け、指揮にも熱が入った。
「この歌は絶望の中で子供たちに託した希望の歌。悲しむためではなく前を向くための歌だということだけは知ってほしい」と、この曲のメッセージを訴える。作曲家として、臼井さんがこれまで手掛けてきた曲は400以上にも上る。その中でも「しあわせ運べるように」は特別な存在だ。「この曲を涙を流しながら歌ってくれる子供もいる。震災を体験していない今の小学生にだって、想像して寄り添う力はあるんです」
「しあわせ運べるように」作曲の臼井さん 定年も「風化させない」
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