ヒト由来の細胞を培養して作った皮膚組織で表面を覆った指型ロボットの開発に成功したと、東京大の研究チームが発表した。研究成果が9日、米科学誌に掲載された。生きた皮膚をまとった世界初のロボットだという。人間の肌のように切り傷をつけても、自己修復できる機能を実現。従来のロボットよりメンテナンスの手間が省け、より人間らしいヒト型ロボットや義肢の開発につながると期待される。
従来の培養皮膚は、化粧品や医薬品の実験のほか、移植用に用いられてきたが、いずれも2次元構造のシート状で3次元の構造を覆うのは難しかった。
チームはまず、3Dプリンターで直径1cm、長さ5cm、3つの関節がある指の形状の骨格を作製。細胞の足場となるゼリー状のコラーゲンとヒト由来の真皮細胞を混ぜて骨格上で培養し、指ロボットを真皮組織で覆った。次に表面に表皮細胞をまき、再び培養。厚さ1.5mm程度の2層の皮膚組織が完成した。
モーターを使って指を曲げ伸ばしすると、関節部分には自然なしわができ、皮膚組織は少なくとも数十回の曲げ伸ばしに耐える弾力性があった。また、真皮に達する傷をつけた上で、傷口にコラーゲンシートを貼ると、真皮細胞が増えたり、移動したりして傷を自己修復することができた。
東京大の竹内昌治教授は「ロボットの被覆材料として皮膚を使えれば、より人間らしい見た目にしたり、自己修復能力など生物が持つさまざまな機能を持たせたりすることができる」と話している。
今後は血管や神経系などの組織に取り組み、人間の触覚のようなセンサー機能などを持った人工皮膚の開発を進める。また、ロボットだけでなく、義手や義足の被覆として使うことも期待される。
傷が治るロボット実現 ヒトの皮膚細胞
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