ロシアの侵攻が続くウクライナの住民2人が、産経新聞のオンライン取材で現地の情勢を語った。露軍が包囲する東部マリウポリでは食料や飲料水が払底し、住民の脱出が加速。首都キエフでは、侵攻が停滞している様子が浮き彫りになった。(ワルシャワ 三井美奈)
◇マリウポリの惨劇
マリウポリの大学教員で市議会議員のミコラ・トロフィメンコさん(36)は、3月15日に国際赤十字の誘導で妻子とともに車で脱出した。現在はウクライナ西部にいる。
マリウポリでは約80人の住民とともに避難所で暮らした。「爆音が響く中、小麦粉やパスタを粥(かゆ)にして食べた。食や水、医薬品不足が深刻。私が手伝っていた病院では、医師が麻酔なしに、台所の包丁で脚の手術をした」と明かした。通信が遮断され、大学の同僚とは連絡がとれないままだ。
脱出時は、住民が車列を組んで移動した。周囲では親露派勢力が検問をしており、20回近く足止めされた。「移動中、7、8台先の避難車が砲撃された。中には2人の子供が乗っていた」と語った。トロフィメンコさんの車も砲弾片を浴び、フロントガラスに大きなヒビが入った。
「大学は砲撃で破壊された。われわれが、何をしたというのか」とロシア軍への怒りを隠さない。5歳の息子は毎日、軍用ヘリコプターやミサイルを見て暮らしたため、「なぜ撃ってくるの」と、しきりに空に問いかけるようになった。
◇キエフ 銃撃止む?
ディミトリ・ワビルキンさん(30)は、キエフ南方約80kmのビラツェルクバで避難生活を送る。3月初め、近くにあるウクライナ軍の医療施設がミサイル攻撃を受けた。「行ってみると、巨大な穴が開き、炎が上がっていた。近くの役場や空港も攻撃された」と話す。
現地では、インスリンなど一部の医薬品が不足しているが、商店は開いており、ベーコンやパスタなどの食品は手に入るという。「生野菜はあっという間に売り切れる」状態。夜は攻撃を警戒し、室内灯を消して暮らしており、暗闇の中でインタビューに応じた。
最近の状況について、「砲撃や戦闘機の轟音は、日中で4回程度に減った。住民は出歩くようになった」と話した。2月末、近所の避難所には約200人が住んでいたが、現在は20人程度。状況改善で、帰宅する人が増えたという。
キエフでは20日、ショッピングセンターが砲撃され、火災で少なくとも8人が死亡したが、ワルビルキンさんは「市中心部では銃撃や砲撃が収まっている。両親とともにいったん自宅に戻ることを考えている」と述べた。キエフ内外はウクライナ側が厳しい検問を行っており、通常ならビラツェルクバから車で1時間程度で行けるのに、現在は約5時間かかるという。
米国防総省高官は25日、キエフでは、ロシア地上部隊の進軍が停滞していると分析している。
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ウクライナ・マリウポリ「麻酔なし手術も」、キエフ近郊「攻撃回数減る」住民が証言
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