秋田市から「なまはげ」で知られる県西部の男鹿半島に車を走らせる。日本海沿いに広大なクロマツ林が見えてきた。「夕日の松原」と名付けられた砂防林から顔を出す無数の巨大な風車。幾重にも重なるプロペラに圧倒された。
年間を通じて強い偏西風が吹き付ける長い海岸線を持つ秋田はいま、国内有数の風力発電の集積地となっている。大型の風車は計296基。最大出力の総計は65万8549㌗で、都道府県別で1位だ。
江戸時代から農地や住宅を飛砂の被害から守ってきた砂防林は、土地が広いうえ、住宅街から離れているなど、風車の立地に適した条件を備えていた。
国が平成24年に再生可能エネルギーについて固定価格買取制度(FIT)を策定すると、風力で発電した電気が高値で買い取られることになり、秋田での風力発電事業への参入が相次いだ。
風車1基には約2万点もの部品が使われる。県外資本が多く参入するなか、25年には部品製造やメンテナンスなどを県内で支えようと、地元企業などによる産業コンソーシアム「秋田風作戦」が立ち上がった。
秋田風作戦には、地元企業を中心に約110団体が加入し、交流会や勉強会を行っている。佐藤裕之会長は「風は秋田が誇る地域資源の一つ。比内地鶏やハタハタのように『特産品』でもある。ブランドとして成長させていきたい」と話す。
現在、県沖では洋上にさらに大型の風車を建設する計画も進む。加速する風力発電には、経済効果などに期待がかかる一方、景観や自然保護、環境面への影響などについて異議が唱えられるなど賛否両論があることも事実だ。
かつて厄介者扱いされてきた風は、秋田の未来をどこまで変えていくのだろう。途切れることなく回り続ける風車の林にシャッターを切った。
秋田「風力発電」
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