軽快な音楽とともに、赤、紫、黄、青と、めまぐるしく色を変えライトアップされる鳥居。くぐるとまるでSF映画のような空間が広がっていた。
室町時代の嘉吉元年(1441年)に創建された愛知県豊川市の豊川閣妙厳寺。鎮守としてまつられている吒枳尼真天の、稲穂を担ぎ白狐にまたがる姿から多くの人には「豊川稲荷」と呼ばれている。
今年7月から始まり、8月以降は毎月22日に開催されている夜間参拝イベント「YORU(夜) MO-DE(詣で)」。音楽とライトアップで日没後の境内を彩る。イベントで貸し出される「ディスタンス提灯」は、円形の模様を地面に投影し、お互いの距離を保つように意識させるコロナ時代のアート演出だ。新型コロナウイルスの影響で参拝客数が落ち込んだ豊川稲荷や、周辺の商店街を盛り上げようと、豊川青年会議所が企画を立ち上げた。
プロジェクトを進めてきた谷口慶一副理事長(38)は「毎年人が集中する正月以外にも定期的な参拝者を増やしていければ」と話す。
演出は東京の映像デザイン会社「ネイキッド」。資金を協賛やクラウドファンディングで集めたという。街のシンボルに貢献したいと地元企業や住人から寄付が集まった。
日没を迎え、ドラマチックな境内。若い女性が多く、浴衣姿で写真撮影に興じている。同級生と訪れた静岡県湖西市の大学2年、佐々木留海さん(20)は「SNSで知りました。今年は夏に浴衣が着られず、この時だけでもと思い着てきました」と話す。
明治時代の神仏分離をくぐり抜け、仏教と神道の境界が曖昧だった古来の寺の面影を残す豊川稲荷。開山580年の寺で見られる新たな景観が注目を集めている。
開山580年 豊川稲荷 参拝の新常態「夜詣で」
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