時折吹く、ひんやりした風に北海道のひと足早い秋を感じる。
観光列車「くしろ湿原ノロッコ号」が日本最大の湿原・釧路湿原を走り抜ける。釧路川に沿って通るJR釧網線は、今月20日で全線開通から90年を迎える。網走駅(網走市)と東釧路駅(釧路市)間の全長166.2kmを結び、一部区間で春から秋はトロッコ列車、冬にはSLなども走る北海道屈指の観光路線だ。
釧網線はオホーツク海沿岸と太平洋沿岸を結ぶ目的で建設された。当初は網走と厚岸を結ぶ計画だったが、当時発展が著しかった釧路へ路線を変更。昭和6(1931)年、先に開業していた網走側と釧路側が結ばれて全線が開通した。
釧網線の運行は現在、観光列車を除くと上下合わせて一日わずか18本。ほとんどが一両編成の車両だ。
無人駅となった止別駅の駅舎を改装した飲食店「ラーメンきっさ えきばしゃ」を営む菊地幸子さん(74)は「昭和30年代は町もにぎわい、小さなこの駅も乗り降りが多く活気があった」と振り返る。過疎化に加えて長引くコロナ禍が追い打ちをかける。「観光客も少なく、乗客がほとんど乗っていない列車を見ると、先行きが心配だね」と話す。
路線存廃についてはJR北海道と沿線自治体が協議を続けているが、鉄道が生活の足として欠かせなかった時代から変化している。
「自然の美しさを車窓から楽しめるのがこの路線の魅力です」と菊地さんは観光客に期待を寄せる。そこには、駅前の自宅で生まれ育った身近な鉄路への愛着があった。(写真報道局 大西史朗)
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探訪 釧路湿原へ人々を誘い90年 JR釧網線
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