東京・銀座の外れに不思議な形のビルがある。建築家・黒川紀章の代表作「中銀カプセルタワービル」だ。昭和47年の完成から間もなく半世紀になるが、老朽化を理由に解体の日が近づいている。
四角いカプセル140個が2本のシャフトに取り付けられた集合住宅。完成当初の雰囲気に近いという部屋に入ると、約10平方㍍の部屋にテレビやオーディオデッキが備え付けられ、ユニットバスもある。特徴的な丸窓からは首都高やビル群を眺められる。
「メタボリズム(新陳代謝)」建築を具現化した建物で、時代や社会の変化に応じてカプセルを入れ替えていく構想だった。だが交換は行われず、来年3月以降に解体される予定だ。
かつて黒川はカプセルを「移動する人」の住まいと定義。情報化社会で移動しながら仕事する人を想定していた。インターネットやスマートフォンが普及し、くしくもコロナ禍の今、テレワークや多拠点生活は浸透しつつある。
「当時は荒唐無稽と思われていたライフスタイルが現実味を帯びてきた」と話すのは黒川の薫陶を受けた工学院大の鈴木敏彦教授(63)。「カプセルにはこれからの暮らしに役立つヒントがあふれている」とも語る。
鈴木教授は今年、避難所での「密」を防ぐ「ダンボールスリープカプセル」を企業と共同開発。状況に応じて容易に増築や移動など変化することができ、避難所での生活を快適
にする。
一方、カプセルタワーは一部の所有者らからなる保存・再生プロジェクトがクラウドフ
ァンディングで資金を募り、取り外したカプセルを購入し、美術館や宿泊施設への設置を目指している。同プロジェクトの前田達之代表(54)は「名建築を後世に引き継ぎ、多くの人が体験できるようにしたい」と語る。
カプセルの系譜は未来へと継承されていく。
古くて新しい形 次代へ
カテゴリ一覧
スポーツ
ニュース
音楽
ラーニング
趣味
グルメ
ガールズ
ゲーム
ギャンブル・宝くじ
エンタメ
アニメ・漫画
どうぶつ