やっと会えた―。山形県米沢市の山間で目にしているのは、紛れもなく「吾妻の白猿」だった。
聞いていたように、体毛は真っ白。まだ子供のようで、母親とみられるサルの後ろを追いかけていく。明らかに群れの他のサルとは姿が異なり、肌は淡いピンク色で、目の色も薄いように見える。見失わないように、シャッターを押し続けた。
山形県と福島県にまたがる、吾妻山系に生息するニホンザルには、白い体色を持つサルが定期的に発見されている。伝承としては古くから伝わるが、昭和13年に初めて捕獲されたとの記録が残っている。
白猿の生息、環境を調査している地元「白猿会」の縮文夫会長によると、昭和13年からこれまで吾妻山系で計30頭が確認され、現在は少なくとも6頭が生息しているという。昭和58年には、米沢市の天然記念物に指定された。
年以上前から撮影したいと思っていた被写体。深い森をすみかにする野生のサルのうえ、頭数が少ないので、狙って出会うのは至難の業。その神秘的な容姿と希少性から、いつからか「会えると幸運が訪れる」と言われるようにもなった。今回、縮会長に案内してもらい3日間、山を巡り遭遇できたのは1度だけだった。
一方、課題もある。近年、麓の集落では、サルによる農作物被害が深刻で、追い払いなどの対策も取るが改善せず、天然記念物の白猿以外は駆除の対象にもなっている。
縮会長は「駆除が進めば、将来的に白猿が途絶えてしまう可能性もある。サルが人里に下りて来ない環境づくりを考えなくてはいけない」と話している。
眼前に幸運呼ぶ「吾妻の白猿」
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