母親の腕の中で静かに眠る赤ん坊、緊張した面持ちの新郎新婦…。何気ない日常や人生の節目で撮影された写真。「負けるながんばれ」と書かれた野球用の手袋や、海水にまみれてさびついたカメラもある。
岩手県陸前高田市の「三陸アーカイブ減災センター」。東日本大震災の津波で流され、市内で見つかった写真や物品など「思い出の品」を、持ち主に返却する活動を続けている。
常設の返却会場に並ぶのは写真約6万9千枚、物品約2700点。多種多様だがセンターの秋山真理代表は「病院の診察券1枚が形見の品という人もいる。残された物の価値判断は私たちでは下せない」と話す。
定期的に開かれる返却会は震災直後から始まり、仙台や東京などでも開催。全国から閲覧できるようにデータベース化も進む。
返却活動は、国の「心の復興」事業の支援を受けて行われているが、支援は今年度で終了する。センターは寄付を募るなどして、今後も継続させていく方針だが先行きは不透明だ。
来年3月には震災から10年を迎える。だが今も精神的に立ち直れない人は多い。先日も報道で活動を知った男性から「まだ1人では見に行くことができない」と電話があったという。秋山代表は「外から見る10年は節目かもしれない。けれど被災者に明確な節目はない」と、人それぞれのタイミングを待つことの必要性を訴える。
「思い出の品」に向かい合うことができたとき、人は過去を見つめ、明日に進む力を得る。震災を風化させないためにも、在りし日の思い出を残す活動が続いてほしい。 (写真報道局 川口良介)
陸前高田 待ち続ける「思い出の品」
カテゴリ一覧
スポーツ
ニュース
音楽
ラーニング
趣味
グルメ
ガールズ
ゲーム
ギャンブル・宝くじ
エンタメ
アニメ・漫画
どうぶつ