サーッ。流れ落ちる滝の音が新緑の渓谷に反射して響き渡る。「天孫降臨」の神話が残る宮崎県高千穂町。高千穂峡は悠久の自然が生んだ造形美を堪能できる。
九州観光のハイライトだが、神話のふるさとも新型コロナウイルスによる観光客の激減は避けられない。
高千穂峡は、阿蘇山の噴火による火砕流が冷却されて生まれた柱状節理が特徴的で、落差約17メートルの真名井の滝の近くをボートが行き交う光景はよく知られている。観光の目玉の貸しボートに乗るには、最長で9時間待ちになるほどの盛況ぶりだったが、コロナ禍でボートの利用者は4月、前年に比べて6割減少した。
関係者からは先行きへの懸念も聞かれた。渓谷に近い「ホテル高千穂」は昨年4月の緊急事態宣言でキャンセルが相次いだため、1年間休業。4月上旬に再開したが、同ホテルの清水洋総支配人によると、「神話の町として外国人観光客からも人気があったが、客足は止まったまま」という。コロナ禍以前、同町には年間140万人ほどの観光客が訪れ、訪日外国人客は年間10万人を超えていただけに影響は深刻だ。
一方、東京五輪の聖火リレーは4月25日、宮崎県の初日を同町からスタート。高千穂神社がある大通りに町民が集まり、静かに見守った。
「つかの間だったが、久々に町全体が盛り上がってうれしい。早くこのような活気が戻ってほしい」と清水さん。「コロナが収まれば観光客は必ず戻ってくる」。希望を見いだした表情に変わった。
(写真報道局 佐藤徳昭)
神話の里 「高千穂峡」
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