雄大な裾野を広げる姿は越後富士とも言われ、「日本百名山」を書いた深田久弥は「越後のみならず日本の名山」とその山容をたたえている。長野県との県境にそびえる妙高山(新潟県妙高市)は標高2454m。周囲に長さ約3kmの外輪山をもつ。
日本有数の豪雪地域に暮らす人々の生活は妙高山との関わりが深い。雪解けの4月、外輪山である神奈山山腹に現れる雪形はその見た目から「跳ね馬」と呼ばれ、農耕開始の目印とされてきた。新潟県上越市で兼業農家の男性は「特に意識はしませんが、跳ね馬が出る頃に毎年、ジャガイモの植え付けを始めます」と話す。
「跳ね馬」から1カ月ほどたてば春本番を迎え、妙高山の山腹には漢字の「山」のような雪形が現れる。この「山」を見たら田んぼの水入れ時期だとの言い伝えもある。
火山による豊富な温泉や山を開いたスキーリゾートなど、周辺地域は妙高山の恵みを享受してきた。
山麓にある赤倉温泉で生まれ育った次井雪雄さんは「スギの葉を拾いストーブの着火剤にしたり、薪用のブナやナラをよく伐採しました」と山との関わりを教えてくれた。幼少時には残雪を利用し、ソリで街まで運んだ思い出が印象深いという。
妙高市内では西側にある山を方角の目印にする人や、晩秋に山頂部の初冠雪を見ると「今年も厳しい冬が来る」と冬支度を始めるという人もいた。人々にあがめられ、愛される「ふるさと富士」がそこにあった。
妙高山 越後富士
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