夕暮れの三面川(みおもてがわ)。網の中で夕日を浴びた銀鱗(ぎんりん)が躍った。
新潟県村上市に江戸時代から伝わる古式ゆかしい鮭(さけ)漁。木製の小舟を巧みに操る同鮭産漁協の漁労長、大滝幸吉さん(69歳)は「川が濁っていても、鮭の動きは手にとるように分かる」と、日焼けした顔をほころばせた。
朝日連峰を源流とするこの川には、多い年で5万匹の鮭が遡上(そじょう)する。10月中旬から12月上旬まで、その半数を6人の川漁師が捕獲する。目的は人工繁殖。必要な卵は1000万粒。大事に育てられた稚魚(800万匹)を春の雪解け水に乗せ放流する。アラスカやベーリング海などを回遊して3~5年後に戻る。
漁法は4種類ある。川いっぱいにさくを設け、両側に置いたかごで一括捕獲する「ウライ漁」を基本に、小舟を使う「引網(ひきあみ)漁」、「居繰網(いぐりあみ)漁」、針で引っ掛ける「てんから漁」。気象条件に合わせて漁法を選ぶ。
卵はすぐに取り出して受精させる。鮭はその場で1匹1000円前後で売られる。持ち帰った市民は「塩引き鮭」に加工する。鮭が軒下に並んでぶら下がる風景は村上の風物詩。料理は100種を超え、頭から尻尾まで捨てるところはない。
村上の鮭の歴史は江戸時代にさかのぼり、村上藩士、青砥武平治(あおとぶへいじ)が世界で初めて母川回帰(ぼせんかいき)する鮭の習性を発見。「種川(たねがわ)」と呼ばれる人工河川を引き、自然ふ化増殖に成功させた。
少年時代をこの地で過ごした私にとって24年ぶりの帰郷。日本海、三面川、村上城跡の臥牛山(がぎゅうざん)に囲まれた城下町も、母に連れられて見た鮭漁も当時のままだった。 (写真報道局 大井田裕)
【探訪】江戸時代からの伝統鮭漁 新潟県三面川
カテゴリ一覧
スポーツ
ニュース
音楽
ラーニング
趣味
グルメ
ガールズ
ゲーム
ギャンブル・宝くじ
エンタメ
アニメ・漫画
どうぶつ