青く澄み渡る空、真下を流れる大井川、周りを囲む深い森林。頼りない感じがする橋の上に立つと、体がフワッと浮かび空中を散歩しているような感覚に陥った。
静岡県川根本町にある「塩郷の吊橋(つりばし)」は長さ約220メートル。「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」とうたわれた東海道一の難所・大井川と県道、大井川鉄道を一気に渡る。足の踏み場は幅50センチに過ぎず、川面までの高さは約11メートルも。下を見ると思わず足がすくむ。人が歩くとグラグラと揺れて、怖さも増幅する。
橋の入り口から長い橋を望むと、ワイヤロープが規則的に曲がりながら対岸へ伸び、太陽の光を反射していた。それはまるで、芸術作品のようだった。「ポッポーッ」。汽笛に驚いていると、煙をはいてSL(蒸気機関車)列車が足の下をくぐり抜けていった。同時にゆらゆらと大きく揺れるつり橋、思わず両手でワイヤロープにしがみついた。
「塩郷の吊橋」は、大井川で隔てられていた塩郷と久野脇の集落を結ぶ生活道路として昭和7年に完成、地域住民に親しまれた。しかし、マイカーで行き来できるようになったため利用は激減。観光用のつり橋として昭和58年に同じ外観で架け替え工事を行った。
探訪 東海道一の難所・大井川、県道、大井川鉄道を一気に渡る吊橋
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