天空を仰ぐ巨大なパラボラアンテナ。満月とオレンジ色の照明が巨体を立体的に映し出す。数十分おきに角度を変えるアンテナは天体が発する微弱な電波を昼夜問わず捉え、宇宙のかなたを見続けていた。
岩手県奥州市の国立天文台水沢VLBI観測所。所内に設置された高さ24m、重さ380トンの「20m電波望遠鏡」は、地球や太陽系を含む銀河系の地図作りを目指す「VERAプロジェクト」に活用されている。離れた場所にある複数の電波望遠鏡で同じ天体を同時観測。太陽の周りを回る公転による地球の位置の違いを利用して三角測量を行い、天体までの距離とその運動を算出、銀河系の精密な立体地図を作る研究だ。
日本にある電波望遠鏡は水沢観測局のほか小笠原局(東京都小笠原村)、入来局(鹿児島県薩摩川内市)、石垣局(沖縄県石垣市)の計4台。これを直径約2300キロの巨大電波望遠鏡として運用。磁気テープに記録したデータは東京の国立天文台三鷹キャンパスで解析される。その能力は月面上に置いた1円玉1個分の位置の違いを判別できる精度という。
これまでの研究では銀河系内を回る太陽系の速度が、考えられていた数値よりも1割ほど速い秒速240キロであることが判明。この結果から、太陽系より内側の銀河系の質量も定説より2割ほど重いことも分かった。
探訪・銀河系を見つめる20m電波望遠鏡 微速度撮影
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